原油相場の低迷が続いている。世界の原油指標であるWTI原油先物価格は、春に新型コロナウイルスの感染拡大やロックダウンによる需要の急激な落ち込みで、一時マイナスとなったのはいまだに記憶に新しい。

その後は景気回復に伴って買い戻しが集まり、8月後半には1バレル=43ドル台まで上昇した。しかし9月の声を聞くと同時に流れは一転36ドル台まで急反落。その後は30ドル台後半から40ドル前後にかけてのレンジ内での値動きが続いている。

石油製品への需要は依然前年を15%下回る

8月末に大型ハリケーン「ローラ」が南部を襲ってから約1カ月半後、今度はハリケーン「デルタ」が、一時10月に入ってからのものとしては異例とも言える「カテゴリー4」にまで勢力を拡大。施設の閉鎖によって、メキシコ湾内の石油生産の90%以上が停止するという異例事態となった。

供給不安が高まるなかで原油市場でも買いが加速。ホワイトハウスと民主党の間で新たな景気支援策の協議が進展するとの期待から株高が進んだことも下支えとなって、相場は一時1バレル=41ドル台半ばまで値を回復した。だが、この水準では売り圧力が強まり、その後上げ幅が縮小した。やはり40ドルを超える水準では上値が重くなるようだ。

相場の上値を抑えている要因が需要の伸び悩みであることに、異論を挟む向きはない。実際、景気回復への期待は依然高いものの、足元の需要は株価ほどに回復してはいない。

アメリカのエネルギー情報局(EIA)の週間石油レポートによると、同国内の石油製品に対する需要は、依然として前年を15%近く下回っている。このうちガソリン需要は4月に一時、半分近くにまで落ち込んだものの、現在は前年比で約7%の減少にまで回復してきた。だが、航空産業と関係が深いジェット燃料の需要は前年比で47%の減少と、依然として通常の半分程度に落ち込んだままとなっている。

新型コロナの感染防止のために人の移動が制限され、航空会社が大幅な減便を強いられていることを考えれば、こうした需要の落ち込みは当然の結果だし、ガソリンに関しても在宅勤務が広がり、人々が通勤のために自動車を使用しなくなったことの影響は大きい。