いわゆる「大阪都構想」が11月1日の住民投票で否決され、同構想の実現に政治生命をかけてきた大阪維新の会代表の松井一郎大阪市長は、2023年4月の任期満了での政界引退を表明した。

松井氏は国政政党・日本維新の会の代表でもあり、今回の結果は次期衆院選での勢力拡大を狙う維新の失速にもつながりかねない。さらに、自民党が反対する中、松井氏と気脈を通じて秘かに大阪都構想実現を期待していたとされる菅義偉首相にとっても、今後の政権運営への打撃は避けられそうもない。

公明支持者は半数が反対に

維新創業者の橋下徹元大阪市長と松井氏は、安倍晋三前首相や菅首相との親密な関係を軸に、国政政党・維新の全国的勢力への拡大を目指して菅政権との連携強化を進めてきた。菅首相も憲法改正で維新と連携するなど、補完勢力確保による政権基盤の安定化を狙っていたとみられる。

菅首相は2021年9月の自民党総裁で再選し、任期4年の本格政権を目指すために、次期衆院選後の自公維連立政権の可能性も探っていたとされる。しかし今回、維新の大黒柱である松井氏が引退を表明し、「政局運営の重要なカードを失った格好」(自民長老)とみえる。

大阪都構想に賛成して「敗者」となった公明党も、大阪における自民党との関係が悪化しており、次期衆院選戦略も含めて菅政権の動揺につながる可能性もある。

大阪市を廃止して4つの特別区に再編する大阪都構想の是非を問う住民投票は2015年に続いて2度目となったが、前回同様、僅差での否決となった。この結果、政令市としての大阪市存続が決まり、松井氏とともに都構想実現に邁進した吉村洋文大阪府知事(維新代表代行)は再挑戦を否定した。

住民投票の当日有権者数は220万5730人、投票率は前回を4.48ポイント下回る62.35%にとどまった。結果は賛成が約67万6000票、反対約69万3000票で、前回の約1万票差より大きい約1万7000票差での否決となった。メディア各社の出口調査などによると、都構想への賛成が多かったとされる若年層の投票率が低く、前回反対だったのに今回は賛成に転じた公明党も、支持者の半数以上が反対に回ったとみられる。