しかし、別に比喩的でもなんでもなく、事業や証券に対しても、もちろん他人や自分に対しても、「将来を見込んで」や、「頑張ってほしい」「大きく育ってほしい」という願いを込めて、投資をすることはできるはずです。つまり、この②は①や③と独立した別の概念ではなくて、①や③の投資も、②のマインドを持ったうえでできるはずなのです。

投資というと、①や③のタイプの投資に関する攻略法ばかりがあふれています。でも、②の意味での投資を、①や③の投資と同じウエイトで扱っている投資の本は少ないのではないでしょうか。さらに、②の意味の投資と、①や③の投資を組み合わせた考え方を推奨している書籍やサイトは私が知るかぎり、ほとんどないんですね。でも、私に言わせれば、②こそが投資にとっていちばん必要不可欠な要素なのです。

例えば株式投資を考えてみても、そもそもその成り立ちからして「その会社を応援したいと思う人が株を持つ」というのが本来の趣旨です。投機的な要素が生まれたのは、あとのことです。

玄人に負けない投資法

つまり、株を買うならあなたが日頃使っていて、ぜひ応援したいと思っている企業の株を買う、ということです。よく行くお店が出した新商品、めちゃくちゃ美味い。ぜひ応援したいから、株を買おう。これは、目先の値動きを見て上がった下がったと一喜一憂する姿勢とは、明らかに違いますよね。

会社や商品に対する「思い」、つまり「興味」というのは、ばかにしたものではありません。

応援していていつも行っていたお店なんだけど、最近なんだか味がよくない方向に変わった気がする。いつもいたあのベテランのすてきな店員さんがいなくなってしまって、あまり好ましくない感じの店員さんがやってきた。そういえば、最近なんとなくお客さんが入っていないような気がするなあ。

こういったあなたの直感は、投資の玄人が決算短信を見るより早く企業の変化を察知します。

これこそがあなたが「投資の玄人よりも詳しい分野」です。いくらすごいAIや歴戦の金融マンでも、あなたがいつも使っている店から感じる、なんとはない違和感までは察知できないのです。

仕事などで何か非常に詳しい分野があるなら、それもまた「玄人よりも詳しい分野」です。あなたがどこかの会社に勤めていたとして、同業他社が最近なんか変な動きをしているな、みたいなことが感じられることは多いと思います。

その会社の社員や関係者などから重要事実を得て、それが公表される前に株や証券の売買を行って得をしたり、損を免れたりするのはインサイダー取引ですが、あなたが他社、あるいはそこに勤めている人の動きを見て「何かおかしい、前はこんなことしなかったはずだけど」と感じるのはインサイダーでもなんでもありません。

そして、長年その業界で働いている人は、他社の動きのちょっとした変化で「なるほど、こういうことをしようとしているな」とか、「根本的な問題解決を先送りして、目先の資金繰りに汲々としているな」とかいうようなことが見えるものなのです。