新型コロナウイルスによるコロナパンデミックの影響がついにスペインで最初にミシュランの三つ星を獲得したレストランを廃業させるに及んでしまった。そのレストランとは1973年に首都マドリードで誕生した「Zalacaín(サラカイン)」だ。

スペインや世界のセレブが訪問していたことでも知られる名店だが、今年に入ってからパンデミックにより客足が激減。スペインで10月25日から再び緊急事態宣言が出されており、レストランなどは再び閉鎖状態に。サラカインも今後の見通しが立たないことから50年の歴史に幕を下ろすことを決めた。

スペイン初の三つ星を獲得

ナバラ地方出身のヘスス・マリア・オヤルビデ氏とコンスエロ・アパラティギ夫人が、バスクとナバラの料理にフランス料理をハーモニーよく合わせた料理を提供すべく始めた同店。サラカインという名前は20世紀前半に活躍した小説家の作品「冒険家サラカイン」の主人公の名前を拝借したものだ。

オヤルビデ氏は当時、マドリードで格調が高いとされていたレストランオルチェルやジョケイをしのぐレストランにしたいと望んでサラカインを開店したとされる。その成果があって、1975年にミシュランで一つ星を獲得、1981年には二つ星、そして1987年にはスペインのレストランで最初に三つ星を獲得した。

1990年代に入ると、スペインのレストランも国際的に知名度を高め、2019年度の世界ベスト50のランキングでも10位までにスペインから3軒が選ばれている。2020年度のミシュランガイドには、スペインから241軒が名前を連ね、そのうち三つ星は11軒ある。ちなみに、世界的に著名人となったシェフのフェラン・アドゥリア氏のレストランエル・ブジが三つ星を獲得したのは1997年のことだ。

しかし、1980年代のスペインのレストランは、国際的に知名度は非常に低かった。筆者は1973年からスペインで生活を始めたが、確か1990年頃にサラカインの名前をよく耳にしたのを記憶している。特に、1975年の一つ星からわずか12年で三つ星まで獲得するようになったということでメディアでも話題になったのを記憶している。