敗北を認めないトランプ氏を批判したり、いさめたりする声も一部では出ているものの、大方は静観している状態だ。上院の主導権がかかるジョージア州の2議席の決選投票を来年1月5日に控える中、トランプ氏の機嫌を損ねるのは得策ではないという事情も透けるが、敗因の総括と再建の議論をいつまでも放置するわけにはいかない。今回の大統領選で、共和党が抱える構造的な弱点が表面化したためだ。

人口動態の変化が選挙結果に影響

経済発展で人口が増えている南部で、共和党は牙城だったアリゾナ州とジョージア州を奪われ、ノースカロライナ州やテキサス州でも差を詰められるなど苦戦が目立った。

民主党支持の傾向が強い都市部からの移住や、平均年齢の低いヒスパニック系の有権者が増えていることで年々、人口構成が民主党有利にシフトしてきており、それがついに南部各州の勝敗を左右するところまで来ていることが浮き彫りになった。

白人人口が2045年には50%を割ると見込まれる中、白人を中心とする保守層頼みでは先細りが避けられない。より多様性に目配りし、マイノリティーに支持層を広げるべき局面に入っていることはかねて指摘されていた。

しかし実際には、トランプ時代の4年間で逆方向にアクセルを踏み込んだ。ワシントンの常識やポリティカルコレクトネス(政治的正しさ)にとらわれない「門外漢」として、白人保守層の期待の実現に邁進したトランプ氏個人へ
の熱狂的な支持も目立つようになった。メディアでは2024年に向けた有力候補として、ニッキー・ヘイリー前アメリカ国連大使やマイク・ペンス副大統領、ポンペオ国務長官、テッド・クルーズ上院議員らの名が挙がるが、誰がなったとしても、「門外漢」だったトランプ氏に忠誠を強めた支持者を満足させるのは容易ではない。

トランプ氏が圧倒的な発信力と独自メディアというツールを手に、伝統的な共和党支持層と重なる7300万人に広く影響力を保ち続ける可能性もある。

トランプ氏と、彼に次の4年を託した7300万人、そして共和党はどう動くのか。足下の選挙結果の先にある、4年後を見据えた道のりはすでに始まっている。

著者:村山 祐介