ところが、同8月にPCR検査の検体採取が唾液による方式に変更され、結果が出るまでの時間が大幅短縮された。海外からの入国者・再入国者・帰国者は飛行機の到着から数時間(早ければ2時間以内)で到着ロビーに出ることが可能となった。これが「入国後14日間は検疫所長が指定する場所での待機」「公共交通機関を使わない」という国からの要請が緩むきっかけとなってしまった。

多くの到着客は公共交通機関を使わずに迎えの乗用車、レンタカー、ハイヤーなどを利用していたものの、一部は要請を無視。到着ロビーや鉄道駅などで公共交通機関の利用制限を呼びかけるポスターを無視するかのように、リムジンバスや鉄道などを利用して自宅などに戻っている光景が成田空港などで見られるなど、まさにザル状態になっていた。チェック機能などは存在していなかった。

空港第2ビル駅(成田空港)の京成線改札口(1月上旬、筆者撮影)

これを受けて、昨年12月に入って政府も動き出した。12月16日から東京空港交通(エアポートリムジン)では入国者専用バスとして、羽田空港および成田空港から都内(赤坂・新宿方面)ホテルへのバスの運行を開始した(宿泊する場合のみ利用可能)。京成電鉄では特急「スカイライナー」の8号車を専用車両として帰国者・入国者のみが利用できる輸送サービス「KEISEI SMART ACCESS」を12月28日から始めた。

「要請レベル」のままで水際対策と言えるのか

だが、そもそも、日本人の帰国を含む海外からの入国者に対して、性善説に基づいた「要請レベル」のままで水際対策と言えるのか。厳格な管理も罰則もないのだから、公共交通機関を使ったり、指定の場所での待機を要請されている期間中にもかかわらず、不用意に感染リスクの高い行動を取ったりする人が一定数出てしまうのは、制度設計上、防ぎようがない。

感染者の入国を水際で止めることは国の責任だ。空港で陰性でも今回のように後日、陽性が明らかになる場合もある。入国を認める以上、帰国後14日間の行動は国が責任を持って管理する体制が必要で、それが物量的な面で難しいのならば入国者数を制限したほうがいい。