合理的に考えれば、「燃費のいいハイブリッド」の「コンパクトカー」で、サイズも機能の差もわずかという2つの商品があれば、どちらか1つに集約するのが正解だろう。作るのも売るのも楽になる。しかし、それは作り手の都合だ。

ユーザーとしては、似たような商品が2つあったほうがうれしい。ヤリスとアクアは同じようなキャラではあるものの、顔つきも違うし、価格も若干異なる。その2つを選べるのはユーザーの大きなメリットとなる。

ちなみに、ヤリス ハイブリッドとアクアのキャラクターが被ったのは、今回が初めてではない。ヤリスの前モデルである「ヴィッツ」は、2017年1月にハイブリッドを追加している。ただし、このときのヴィッツ ハイブリッドの燃費性能はJC08モード34.0km/lと、ほんのわずかだがアクアに届かなかった。価格は、ほぼ同じだ。

そんな同族ライバルの登場もあってか、2017年通年のアクアの販売は、前年比78.2%にとどまった。しかし、販売台数は年間13万1615台で、販売ランキングは、プリウス、ノートに次ぐ3位となっている。ヴィッツに顧客を取られたかもしれないが、大きな痛手にはならなかった。

キャラ被りはむしろプラスに作用する

中身は同じでも顔つきを変えることで、1モデルだけの販売より、より多く売る。そうしたビジネスはトヨタの得意技だ。最近になってトヨタは、どの販売店でもすべての車種を販売するようになったが、以前は販売チャンネルごとに同じ中身のクルマの兄弟車を用意して販売していた。

「マーク2/チェイサー/クレスタ」といった具合だ。今でも、「アルファード/ヴェルファイア」、「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」という兄弟車がある。

同様に、ヤリスとアクアのキャラクターが多少被っていても困ることはない。それよりも、幅広い顧客のニーズに応えられるというわけだ。とはいえ、デビューから10年目というのは、さすがに少々引っ張りすぎ。

2代目モデルのウワサも聴こえてくるが、次世代のアクアは当然、ヤリスとの差別化が重要なポイントとなる。ノートe-POWERやフィットe:HEVというライバルもある中で、どんなキャラクターを持って生まれてくるだろうか。

著者:鈴木 ケンイチ