昨今の経済現象を鮮やかに切り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第36回。

零細企業の利益が87%減

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済情勢の変化によって、大きな影響を受けているのは、零細企業だ。この分野で人員が64万人減少しているが、これは法人全体の減少数の62%にもなる。とりわけ大きな影響を受けているのは、対人サービス業の零細企業で、企業の存立にかかわる問題が生じている。GoToキャンペーンのように受益が大企業に偏る政策でなく、零細企業の存続に焦点を絞った政策に転換する必要がある。

業種・業態や企業規模によってまだら模様はあるが、コロナ不況で落ち込んだ企業にとって、その売り上げは容易に回復しそうがないので、今後とも対策が必要だ。どのような対策がどれだけ必要かを判断するには、現在の状況の正確な把握が必要だ。

業績が落ち込んでいるのは、1月24配信の前回記事「宿泊業に従事する人の苦境どうすれば救えるか」で述べた宿泊業だけでない。零細企業が大きな打撃を受けている。

以下では、資本金1000万円以上〜2000万円未満の企業を「零細企業」と呼び、これを資本金10億円以上の企業を「大企業」と比較することにする。

法人企業統計調査によって2020年7〜9月期と2019年7〜9月期を比較すると、売上高の減少率は、全規模で11.5%、大企業が11.6%であるのに対して、零細企業は14.6%だ。高めだが、あまり大きな差ではない。

ところが、営業利益の減少率は、全規模で39.0%であり、大企業で30.3%であるのに対して、零細企業では87.2%もの高さになっている。

従業員の減少率には、もっと顕著な差がある。すなわち、全規模で2.9%、大企業では1.7%でしかないのに対して、零細企業では7.8%にもなっているのだ。

このように、コロナ不況で最も大きな打撃を受けているのは、零細企業だ。

したがって、支援はこの分野に集中するのが望ましい。