筆者は、今の株式相場を展望するうえで押さえておきたいポイントとして以下の3点に注目している。(1)日銀のETF(上場投資信託)買い入れ方針変更の有無(2)アメリカの業種別雇用数(3)イスラエルの新型コロナ感染状況である。

まずは日銀のETF買入れ方針である。現在、買い入れペースは原則として年間約6兆円、2020年3月からは時限措置として約12兆円に拡大されている。ただ、日経平均株価が3万円に近づくなかで「その必要があるのだろうか?」との指摘も多くなってきた。そうした中で日銀は3月に金融政策の「点検」結果を発表する予定である。それに合わせて、一部市場関係者は日銀がETF買入れ額の政策方針を減額方向に修正してくると予想しているようだ。

日銀がETF買入れ額を減額修正する可能性は低い

だが、筆者はその可能性は低いと判断している。というのも「政策変更をせずとも裁量的に減額できる」からだ。まず「政策変更」と「裁量」について簡単に説明しておこう。日銀の金融政策は年8回開催される「金融政策決定会合」で議論され、そこでの決定事項は「声明文」と呼ばれる文書に明記される。もちろん、声明文に記載の政策方針と実際の政策運営は完全に一致する必要がある。

現在、日銀はETF買い入れ方針について「保有残高が年間約6兆円に相当するペースで増加するよう買い入れを行う」としたうえで、新型コロナ禍対応として「当面は、年間約12兆円に相当する残高増加ペースを上限に、積極的な買い入れを行う」(筆者が一部省略)と明記している。したがって、政策変更(=声明文の書き換え)がない限り、6〜12兆円の買い入れを実施する必要がある。そこに裁量の余地はない。

ただし声明文下部に設けられている注釈には「市場の状況に応じて、(ETFの)買い入れ額は上下に変動しうるものとする」(括弧書きは筆者)とある。この一文は2018年7月に追記された。政策方針を示す文書としては何とも曖昧な表現だが、この一文によって、日銀は買い入れ額を「裁量的」に調整することが可能になっている。