栃木県宇都宮市は1月25日、2022年3月の開業を目指してJR宇都宮駅東口から本田技研北門(同県芳賀町)まで14.6kmの整備を進めている「芳賀・宇都宮LRT」について、開業時期が1年程度遅れるとともに、事業費が226億円増額する見通しだと発表した。

鉄道の新線整備をめぐっては、北陸新幹線金沢―敦賀間の開業時期が当初予定の2023年春から1年程度遅れる見込みとなり、あわせて事業費の上振れが明らかになったことも記憶に新しい。

なぜ、鉄道の新路線整備は遅れてしまうのだろうか。

宇都宮LRTは「用地取得」が要因

新線の開業までには計画決定、鉄道事業法に基づく許可申請や環境アセスメントなどの各種手続き、用地取得、工事発注、工事といったさまざまなステップがある。工事は複数の工区に分けて同時並行で進められるが、鉄道は1本の線であるから、1カ所でも工事が完了しなければ開業することはできない。つまりいずれかの場所で、工程に1つでも狂いが生じた場合、工期は延び、開業は遅れるのである。

もちろん、工事計画の立案にあたっては一定の余裕を盛り込んであるし、やむをえず遅れが生じた場合は工事方法を変更して遅れを取り戻すことになる。しかし、工事においては自然を、交渉においては人間を相手に進めなければならない新線建設において、不確定要素を完全に排除することはできない。

具体的に見ていこう。芳賀・宇都宮LRTのケースでは用地取得の遅れが工事スケジュールに影響し、開業延期に至った。

宇都宮市の発表によると、2020年12月末時点で同市域の事業用地については事業面積全体の約95%を取得しているものの、未取得の用地については「今後1年程度の期間を要するものと想定される」ことから、開業時期は当初目標の2022年3月から1年程度遅れる見通しであるとしている。用地取得が遅れている原因について、宇都宮市の建設部LRT企画課協働広報室は、コロナの影響で対面での交渉が行いづらいなどの事情により時間を要していると説明する。