国内最大のフリマアプリ・メルカリ。個人間の売買を劇的に手軽にしたプラットフォームは、人気商品の高額転売で利益を得る「転売ヤー」にとっても使い勝手のいい場になっている。売りたい人、買いたい人をつなぐ存在としての「健全性」をどう考えるか。メルカリで日本事業のCEOを務める田面木宏尚氏に聞いた。

――2020年に有識者会議を立ち上げて「マーケットプレイスの基本原則」を定めた背景は。

メルカリは設立8年の会社。フリマアプリ自体も歴史が浅く、個人間の売買が身近になったのはまだ最近のことだ。そんな中で去年、新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の状況になり、マスクや消毒液の買い占め・転売問題が起きた。

考えてみれば東日本大震災のときにも物資の買い占めは起こったが、売る手段としてフリマアプリはまだなく、転売が大問題に発展することもなかった。今回噴出した新しい現象・課題をどうとらえていくべきか。それを問われたことが有識者会議立ち上げの背景にある。

メルカリは「循環型社会を創ること」を創業の理念としている。要らなくなったものを必要とする誰かに届け、それを世界レベルで実現すればより経済が回っていく。この思いは一貫しているが、その過程で対処すべき課題を外部の識者と今一度議論してみたいと思った。

高額転売には「多様な視点」がある

――「高額転売」についてはどんな意見が出ましたか?

フリマには売る側と買う側、どちらにも多様な視点があるだろうというのは総意だった。いわゆる「高額転売」についてもさまざまなケースがある。手元にモノが余っているから売るという人もいれば、(ある商品を)買い占めて利ザヤを取ろうとする人もいる。それを買っている側にも意見もあるだろう。それだけのお金を投じても、欲しい、買う価値があると。

市場原理の観点から、価格の高騰することそれ自体が問題であるという意見は、有識者からも出なかった。ただメルカリとしては、ここに何らかアクションをしたい。そう意見したことで出た方策が「アラート機能」だった。

なぜ高額でも買ってしまうのか。その要因の1つとして、情報が不足していることが挙げられた。「今買わないと」と焦る。そこに対処してはどうだろうという話になった。1次流通の皆さんと連携して、事前の注意喚起や販売スケジュールなどの情報を(メルカリのサービス画面上で)出していければ、今慌てて買わなくてもいいと思えるかもしれない。