「3月8日に相談窓口を設置して1週間経つが、県に寄せられた相談はまだ5件程度。高炉の休止は4年後で、日本製鉄からは今後の雇用について詳しい情報がないため、影響を見極められないでいる」と茨城県政策企画部の担当者は打ち明ける。

日本製鉄が3月5日、国内での新たな生産拠点のリストラを発表した。東日本製鉄所鹿島地区(茨城県)で高炉1基を休止するほか、日本各地の生産拠点で厚板や建材などの複数ラインも休止する。同社は2020年2月にも2基の高炉を持つ瀬戸内製鉄所呉地区(旧日鉄日新製鋼・呉製鉄所)の閉鎖や和歌山の高炉休止など大規模リストラ計画を発表済み。

その後も橋本英二社長が「決定済みの対策の前倒し、追加の対策が必要になってくる」と述べており、鹿島地区の高炉休止はその言葉どおりといえる。

本当に雇用を守れるのか

一連の生産構造対策とデジタル化によって5年間で20%以上の要員合理化を見込んでおり、「1万人を越える規模になる」(右田彰雄副社長)という。この人数は自社従業員と協力会社の合計で内訳は開示していない。

自社従業員に関しては、「雇用を守っていくのが従来からの日本製鉄の大方針なので早期退職などは基本的に考えていない」(右田副社長)としており、他生産拠点への異動で対応していくという。協力会社については、「それぞれの会社の経営の考え方に従う。ただ、鉄鋼製造の実務経験を有する協力会社の皆さんは非常に貴重な戦力なので当社グループの中でご活躍いただきたい」(右田副社長)という。

もっとも各地で生産拠点の削減を進める以上、異動となれば転勤や仕事内容の変更となる可能性は高い。協力会社にしても日鉄からの仕事を確保できるか定かでない。鹿島地区は2基ある高炉を1基休止するほか関連設備も休止する以上、「(自社従業員の)雇用を守る」「グループの中でご活躍いただきたい」といっても現実には難しい。冒頭の茨城県の担当者が対応に苦慮しているのは、先行きが見えないからだ。