――日本だけ物価目標を取り下げると、円高になるという懸念があります。

そこが悩ましいからこそ日銀は今回、点検をやらざるをえなかった。つまり、2%目標はやめられないし、ETF買い入れもやめられない。だが、やめないと問題が大きくなる。

今回の点検で日銀が説明しているように、2%目標はグローバル・スタンダード(世界標準)であり、日本だけやめると円高リスクなどいろいろ不都合が生じる。次善の策として、2%目標を続けるが他の政策とヒモづけないで事実上、形骸化していくしかない。

マイナス金利政策や長期金利のコントロールも異常な政策であり、物価2%目標とのリンクを外していく必要がある。景気のよかった2017〜2018年でもマイナス金利は続き、長期金利もゼロだった。今後、コロナ禍後の次の景気拡大期に、こうした異常な政策を見直していけるか(どうかが勝負)だ。

消えぬ米国経済の下方修正リスク

――金融政策の出口戦略という意味では、先進国の中で最も景気回復が目立つアメリカの情勢が注目されます。

アメリカではワクチン接種も進んでおり、比較的早期に経済が正常に戻るのではという期待が強まっている。財政政策は積極的で、製造業が順調に回復している。コロナが収束していけば、サービス関連のペントアップ需要(繰越需要)も見込まれる。

OECD(海外経済協力機構)やFRBは最近、2021年の実質GDP(国内総生産)成長率を6%台へ上方修正しており、展望は明るい。ただ、コロナ禍が終わったわけではなく、ダウンサイドリスクは消えていない。

――FRBが金融緩和の縮小を早めるという市場の観測も増えています。

FRB自身は非常に慎重に見ている。市場よりも悲観的という意味ではなく、先のことはわからないので今後の展開を十分に見極めたうえで判断していこうというスタンスだ。現状、利上げは早くても2〜3年先とみられる。

一方、市場の見方が強気になるのも当然で、利上げが早まるとの見方から長期金利がここ2〜3カ月、かなり上昇した。今後も経済指標次第で前のめりになる可能性があり、長期金利が2%を超えたとしても不思議はない。ただ、アメリカ経済が今後2〜3年にわたって力強い成長を続けるか、インフレ2%を中長期的に維持できるか、最大雇用を実現できるかはわからず、長期金利が再び低下する可能性もある。