そこで問題となってくるのが、チーム・マネジメントという役割を担っている管理職のあり方です。優秀なプレーヤーであっても管理職に登用されたことで事務的な仕事に時間をとられ、スペシャリストとしての能力が希薄化していく人や、人事ローテーションで不慣れな部署の管理職になったのを機に、専門的なことは部下に任せて、自分は組織マネジメントや他部門との調整、担当役員とのコミュニケーションなどで役割を果たそうと考える人もいます。いわゆるゼネラリスト・マネジャーです。

しかし、最近、専門的なことがわからない上司とどう付き合えばよいのか、という社員の悩みを耳にする機会が増えてきました。ジョブ型かメンバーシップ型に関係なく、すでに現場はゼネラリスト・マネジャーに対する違和感を訴え始めているのです。

生き残るのはスペシャリスト・マネジャー

専門能力を基準に人材価値が再評価される時代に求められる管理職は、高い専門性を有して技術的にもビジネス的にもチームを牽引できるスペシャリスト・マネジャーです。

私が勤めていたアメリカ企業の社員たちは、スタッフのときはもちろんのこと、たとえ管理職になっても決してプレーヤーの座を手放そうとはしません。私は役員の1人として経営に携わっていましたが、そのときでも1人のコンサルタントとしていくつかの顧客企業を担当していました。

調査担当の役員も、チームの誰よりも高い調査能力を発揮して質の高いレポートを出していましたし、法務担当役員も、社内で最も高い専門性を有する法律家として自ら契約交渉の場に臨んでいました。

もちろんその理由は、人材価値の源泉である専門能力を維持・向上させるためですが、それに加えて、そのほうがマネジャーとしての役割を、よりしっかりと果たすことができるということもあります。

すなわち、高い能力を有する自分自身がプレーヤーとして参加することがより大きなチームの成果につながり、プレーヤーとしての自分の姿を間近に見せることがメンバーの育成になると考えているのです。さらに、そもそも実務に精通していない人に、マネジャーとしての重要な判断などできるわけがないとも考えています。

彼らはマネジメントと実務を高い質で両立させるために、徹底的に自分自身の生産性を高める努力をしています。大原則は迅速な意思決定と迅速な行動でPDCAを高速回転させることなのですが、私がアメリカ系企業で実際に経験したことを一例として紹介します。

もし、社内で何か新しいアイデアを形にしようと思ったとき、発案者はとりあえず「すぐに」メモを1枚作成して「すぐに」関係者と議論します。その場で内容の妥当性を確認して必要な修正を施して、「すぐに」行動に移すという仕事のスタイルです。