先述のイチローズモルトの落札者もマッカランの落札者も、おそらくは飲むのが目的ではなく、投資目的で落札したのでしょう。これほど高額な取引にならずとも、自宅に眠っていた、あるいは蒸留所の売店で購入したウイスキーを、ネットオークションやフリマアプリなどに出品する人もいるようです。

近年は、ウイスキーに投資するファンドも登場しています。世界のウイスキー市場は2026年まで拡大が続き、年間平均成長率は5%超を記録すると予測されています。ウイスキー投資ブームも、まだしばらく続くのではないでしょうか。

2つめのトレンドは、ウイスキー新興国の台頭です。おいしいウイスキーは冷涼な土地で生まれる――。ウイスキー業界では長らくそういわれてきました。外気温の変化が少ない寒冷地のほうが、熟成がゆっくりと進み、その分、味に奥行きが出ます。ゆえに、暑い地域でつくられたウイスキーは、これまであまり評価されませんでした。それが変わりつつあります。

品評会で高い評価を受ける台湾のカバラン蒸留所

暑い地域でもおいしいウイスキーをつくれることを世界に知らしめたのが、台湾のカバラン蒸留所です。カバラン蒸留所から新製品が出るたびに話題になり、品評会でも多くの賞を受賞しています。

2020年に開催された第2回東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)では、出品された全128品のシングルモルトのなかから、カバラン蒸留所の「カバランソリストヴィーニョバリック」が最高賞の「ベスト・オブ・ザ・ベスト」を受賞。さらに、2位、3位にもカバランのウイスキーが選ばれ、スコッチやジャパニーズを差し置いてトップ3をカバランが独占するという結果になりました。

インドウイスキーも要注目です。実はインドは、世界一のウイスキー消費国であることをご存じでしょうか。また、世界のウイスキー販売量ランキングにおいて、1位を獲得しているのもインド産ウイスキーです。

ただ、インドで親しまれているのは、モラセスを原料としたウイスキーです。モラセスは、サトウキビから砂糖を生成する際に出る副産物で、日本では廃糖蜜または糖蜜と呼ばれます。

モラセス原料のウイスキーは、インドでは180ミリリットルサイズの紙パックで売られていることが多く、価格はなんと50円ほど。その安さから、インドの人々の国民酒となっています。