朝ラッシュ時間帯にも着席通勤の時代がやってくるのだろうか。新型コロナウイルスの感染拡大により、終電時刻の繰り上げや一部時間帯の運行本数縮小など、後退一色となった春のダイヤ改正において唯一、前向きな話題と言えるのが着席列車の運行拡大である。

京阪電鉄が1月末のダイヤ改正で「プレミアムカー」を増強したのを皮切りに、東武鉄道も3月ダイヤ改正で東上線の「TJライナー」を朝ラッシュ時に増発。京急電鉄も5月から朝の上り列車「モーニング・ウィング」に車両を増結する。通勤利用者数の低迷が続く中、一般の列車を減らした分を着席列車の運行に充てる例もある。着席列車は苦境の通勤鉄道にとって救世主となりうるのだろうか。

「プレミアムカー」大増発

春の訪れより一足早く、着席車両を増強したのが大阪と京都を結ぶ京阪電鉄だ。京阪は2017年8月に8000系車両計10編成に座席指定特別車両「プレミアムカー」を導入しているが、今年1月31日のダイヤ改正から3000系車両計6編成にもプレミアムカーを連結し、運転本数を108本(平日、上り・下り合計)から177本に拡大した。

8000系と3000系は特急列車を中心に運用されている。これまでは日中時間帯1時間あたり6本(10分間隔)で運行される特急のうち、4本にプレミアムカーが連結されていたが、ダイヤ改正後は6本すべてでプレミアムカーのサービスが提供されることになった。あわせて朝夕通勤時間帯にもプレミアムカーを連結した車両が増えている。

京阪電鉄によればプレミアムカー導入の検討が始まったのは2013年のことだったという。「鉄道復権」を目指すため、サービスの在り方を見直す検討が社内で行われ、その中で出たアイデアのひとつが座席指定特別車両だった。利用者からも確実に座って、京阪間の移動をゆったり楽しみたいという声が多く寄せられており、また訪日外国人の増加など、特急を取り巻く環境の変化も背景にあったようだ。