二階氏周辺は「売られたケンカは買うのが当たり前」と凄み、菅首相がダメ押しした格好だ。これに対し、共産党の小池晃書記局長は、コロナ感染急拡大を理由に「今の時期に不信任案を提出する、解散するというのは適切でない」と二階、安住両氏らの言動を批判。

立憲民主の江田憲司代表代行も「与野党が不信任案を出す、出さないと議論していること自体がよくない」と語るなど、解散への怯えもにじませた。

もちろん菅首相の一連の発言については、与党内でも「単に党内の引き締めを狙ったブラフ」(公明幹部)と受け止める向きが多い。その一方で野党側が「下手に不信任案を出せば、解散を誘発する」と及び腰になったことで、自民党は「不信任案封じ込めの効果はあった」(国対幹部)とほくそ笑む。

解散時期を左右する4.25トリプル選

自民党幹部が4月解散・5月衆院選を示唆する解散発言を連発したことを受け、同党は3月22日の役員会で、二階幹事長が「(解散は)菅義偉首相の専権事項だ」として党幹部が発言することを控えるよう申し合わせた。ただ、その二階氏が「舌の根も乾かぬうちに堂々と解散発言を繰り返した」(自民幹部)ことで党内の不満も広がっている。

4月8日には、参院長野選挙区補欠選挙と参院広島選挙区再選挙が告示された。どちらも自民公認で公明推薦の与党候補と、立憲民主など主要野党の統一候補が激突する構図だ。

13日告示の衆院北海道2区補選と合わせた「4.25トリプル選挙」は、菅政権発足後初の国政選挙となる。10月21日の衆院議員任期満了をにらみ、選挙結果は菅首相の政権運営や解散時期をめぐる判断に大きな影響を及ぼすとみられている。

自民党内には、「トリプル選の結果次第では秋の総裁選で総裁を交代させ、総選挙を戦うための『菅降ろし』が現実化する」(閣僚経験者)と見る向きもある。だからこそ菅首相は「その前の解散断行に言及することで、党内の反菅勢力を牽制した」(同)というわけだ。

ただ、今後の政治日程を予測すると、菅首相にとっての解散時期の選択肢は限られている。

下村博文政調会長らが言及して波紋を広げた「連休前の衆院解散・5月23日投開票」説は、すでに消えたとみられている。「菅首相の訪米と日米首脳会談で政権浮揚を図り、連休前のデジタル庁創設法の成立を受けての解散」(自民幹部)との思惑だったからだ。