1月の労働党大会では、金正恩と党指導部が、市場からの部分的な撤退と国家計画経済へ復帰、そして主に中国経由で外部から流入してくる情報や思想に傾倒する大衆を厳格に統制することを示唆した。

ブラウン氏は、投資がほとんどなく、生産のための輸入部品や原材料の不足が深刻化していることから、北朝鮮の経済は縮小しつつあると、書いている。

「基本的な食料供給は、飢饉を防ぐのに十分足りているように見えるものの、国民の多くは、通常中国から輸入される最も基本的な日常品の欠如に苦しんでいる。その一方で、数人の起業家たちが、ほとんど無給状態にある役人たちに賄賂を贈りながら、富を蓄積している。また、8年間にわたって安定していた通貨と物価が、今では非常に不安定となり、現金に対し投機的な環境を作り出している。これらが相俟って、確かに厄介な状況だ」

「感染者がいない」という主張の意味

ただちにではないが、中国との国境貿易再開の準備の兆しが見られることから、ある程度の支援物資が送られてくる可能性がある。そうだとしても、「北朝鮮が中国との国境再開を恐れる本当の理由は新型コロナの流入ではなく、ドル、人民元、そしておそらく北朝鮮の国民が流出することだ」(ブラウン氏)。

新型コロナの流行が北朝鮮に与える影響については、北朝鮮に詳しい専門家の間で、いくつかの議論がなされている。「感染者がいない」という主張は、専門家によって退けられており、またそれは、現体制が同ウイルスの蔓延をおそれている証拠でもある。

北朝鮮の兵士が通常パトロールしている非武装地帯の共同警備区域に、定期的にアクセスしている韓国駐留のアメリカ軍の高官の話によると、北朝鮮側の職員の大部分は、彼らの複合施設にこもっており、外に出てくるときは全身をオレンジ色の化学防護服で完全装備しているという。

昨年1月以来、彼らとの対面での接触は途絶えているとのことである。この高官が、ここ数カ月にわたって、主に経済的困窮が原因で国境を越えた脱北者2人に面談を行ったところ、下層階級に属する彼らは、魚を食べると病気が伝染する可能性がある、などの北朝鮮に拡散している恐怖論について詳しく語ったという。

これらの保健衛生上の懸念にかかわらず、北朝鮮政府は従来人道的な保健衛生関連の支援を行ってきた韓国や国際機関との対話を拒否している。北朝鮮政府は世界保健機関(WHO)の国際共同プログラムからワクチンを受け取る契約を結びはしたが、外国人スタッフの入国を認める体制を整えたわけではない。