不利益変更とは、合意がなく一方的に労働者にとって不利益な労働条件に変更することを指す。これは労働契約法第9条で禁じられている行為である(合理的な理由がある場合は別)。

強引とも言える規則改定をした背景には、人件費のコストをカットして経営収支を改善する、という東京女子医大の戦略が見え隠れする。

6年間の学費は1200万円増の4700万円

冷たい雨が降りしきる4月5日、東京女子医大の弥生記念講堂に新入生とその家族が集まった。エントランスで記念撮影する新入生たちの表情は、一様に屈託がなく明るい。

今年度から医学部の6年間の学費は1200万円も一気に値上げされ、学費総額は約4700万円。私立医大ではトップクラスだ。受験業界では「女子医大ショック」と言われ、財政状況の悪化がささやかれた。

今年4月5日の入学式。今年の入学生から、医学部では6年間で1200万円の学費を値上げした(筆者撮影)

昨年、コロナ対応に追われていた医師や看護師らに対して、「夏のボーナス支給ゼロ」と回答、大騒ぎになったことは記憶に新しい。

その理由について、理事会側の代理人(弁護士)は、コロナによる財政悪化で、30億円の赤字であると説明した。しかし、赤字30億円という数字は、ボーナスを前年並みに支給した場合の推計値にすぎないことが、筆者の調査で判明した。この問題は国会でも取り上げられて、最終的に東京女子医大は1カ月分を支給している。振り返れば、「ボーナス支給ゼロ」も人件費をカットする方針の一貫だったとみるべきだろう。

(参考記事:「東京女子医大病院『400人退職』の裏にある混沌」東洋経済オンライン2020年7月16日配信)

名門とされながら、東京女子医大は経営悪化に苦しんできた。

2001年の心臓手術後に子供が死亡した事故、そして2014 年に集中治療中の子供に禁止されていた鎮静剤「プロポフォール」の投与で死亡事故を起こし、厚労省から2度にわたって特定機能病院の認定を取り消された。

これによって患者数が一気に減り、事故の対応をめぐる混乱などから私学助成金も減額された。