百貨店からの大量撤退、銀座の旗艦ビル売却、そして希望退職の募集――。「ポール・スチュアート」や「マッキントッシュ ロンドン」を展開する三陽商会ではこの1年、大胆なリストラのニュースが相次いだ。陣頭指揮を執ったのが、三井物産出身で昨年3月から三陽の経営に参画した大江伸治社長だ。

コロナ禍で主販路の百貨店の売り上げが激減し、4月14日に発表した三陽の前2021年2月期決算は売上高379億円、営業赤字89億円と、5期連続の営業赤字を計上。今期はリストラによるコストの大幅圧縮と粗利益率の改善により、6期ぶりの営業黒字化を見込む。

2015年の英国ブランド「バーバリー」とのライセンス契約終了以降、長らく続いた赤字体質を抜け出せるのか。大江伸治社長に聞いた。

品番数を集約し、売り場にメリハリをつけた

――大規模なリストラは前期で完了したのでしょうか。

コスト削減、バランスシート改革、資産流動化と、やるべきことはすべてやった。完了したといえば完了したが、今後新型コロナによって経営環境が悪化する可能性もあり、確定的なことは言いがたい。

前期は僕が着任した時点で途方もない量の春夏商品を仕込んでいた。だからセールも多く実施して、何が何でも在庫を減らす必要があった。だが今期は徹底的にプロパー消化率(定価で販売する比率)を重視する。そのために仕入れを抑制し、品番数もがくんと減らした。3月以降は一転して定価販売に切り替えている。

――乱発した値引きセールの影響で、顧客離れは起きていませんか?

僕も心配していたが、3月は売り上げも粗利益も目標を上回る額を確保できた。以前の売り場は1つのラックに大量の商品を押し込んでいた。顧客から見れば、バカみたいに商品が詰め込まれていたら選べない。今は品番数を集約し、プロ目線でメリハリをつけた売り場の編集を行って「これが目玉ですよ」とわかるようにした。

典型的なのがスコッチハウス。品番数を4割減らしたが、売り上げは増えている。100品番あるなら、今までは50品番で売り上げの9割を作り、残りの50品番は売り上げの1割しかなかった。それが収益力低下の最大の要因になっていた。

顧客の反応をみて当たりの品番を見極め補充するサイクルも、三陽は作れていなかった。在庫の持ち方や販売員の配置などオペレーションを変えれば、百貨店の残った売り場は必ず儲かる店に変えられる。

――コロナ禍が収束すれば、百貨店の集客は戻ると見ていますか?