世界的に旺盛な半導体需要に支えられ、半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の業績は絶好調が続いている。TSMCが4月15日に発表した2021年1〜3月期の決算報告書によると、売上高は前年同期比16.7%増の3624億1000万台湾ドル(約1兆3880億円)と大幅増収だった。

さらに同決算期の粗利率は52.4%に達した。売上高と粗利率ともに、同社が1月14日に開示した四半期見通しの上限値に近い数字だ。純利益は前年同期比19.4%増の1396億9000万台湾ドル(約5350億円)を記録した。

1〜3月期の業績が好調であることは、これまでの同社の四半期ごとの業績と比較しても異例だ。従来は1〜3月期と4〜6月期は、同社にとってのオフシーズンにあたり、7〜9月期と10〜12月期にならないと業績は上向いてこなかった。ところが、2021年の1〜3月期は世界的な半導体不足による価格上昇の中で、TSMCの業績は以前では見られなかったほどの好調さを見せている。

説明会で値上がり問題にも言及

各セグメント別に見ると、スマートフォン関連事業の総売上高に占める比率は、直前の2020年10〜12月期の51%から45%に下降した一方で、高性能コンピューティング事業の販売比率は31%から35%に上昇した。注目に値するのは、同時期における自動車用エレクトロニクス事業の販売が直前の四半期に比べ31%の大幅増となり、総売上高に占める比率が1ポイント上昇し4%となった。

【2021年4月30日9時50分追記】自動車用エレクトロニクス事業の、総売上高に占める比率の表記を一部修正いたします。

本記事は「財新」の提供記事です

自動車用エレクトロニクス事業は、今回の世界的な半導体不足の中で、最も早く供給危機となったセグメントだ。2020年12月以降、多くの自動車企業は自動車用半導体の供給不足により生産停止に追い込まれた。2021年初頭には、アメリカ、ドイツ、日本など複数の国が台湾に対して自動車用半導体の生産能力を増強するよう要請した。

TSMCはこの要請を受け自ら生産能力の配分の調整を行った。1月14日に行われた決算説明会でTSMC総裁(社長に相当)の魏哲家氏は「自動車向けの部品供給問題を解決することが第一の任務」と強調した。

4月15日に開催された決算説明会では、魏総裁は再び半導体の供給不足問題について触れ、「世界的な半導体需要は依然、需要が供給を上回り、今年は年間を通して供給不足が続き、2022年までこの状態が続く」と述べた。

他方、半導体業界のサプライヤー各社は4月から価格を10〜20%引き上げるとの通知を、顧客に続々と送り付けている(詳細は「半導体チップ「供給不足」に続いて「値上げ」の波」参照)。値上がり問題の質問に対して、魏総裁は「TSMCはどさくさに紛れ不当に儲けるようなことはしない。ただ、今われわれが行おうとしている投資は従来に比べより複雑な先駆的技術であり、これにわれわれの持つ成熟した技術を合わせて投入するため、妥当な水準の利益は頂戴したい」と回答した。

(財新記者:屈慧、趙夢婷)
※原文の配信は4月16日

著者:財新 Biz&Tech