客足が徐々に戻り、光明が見え始めていた百貨店業界に再び試練が訪れている。

新型コロナウイルスの「第4波」による感染拡大が続く東京都や大阪府など4都府県で4月25日、3回目の緊急事態宣言が適用された。休業を要請された百貨店やショッピングセンターなどの大規模商業施設は、同日から一部売り場を除いて臨時休業に入った。

百貨店の休業は、2020年4〜5月に実施された1回目の緊急事態宣言以来となる。休業要請が出たのは、床面積合計が1000平方メートル以上の店舗。各社の基幹店舗を含め、対象地域にある大半の百貨店店舗が該当しており、業績への甚大な影響は避けられない。

業界団体「休業要請しないで」陳情実らず

東京都新宿区の伊勢丹新宿本店も、同25日から臨時休業した。ただ、生活必需品の販売は休業要請の対象外になるため、食料品や化粧品など一部売り場では営業を継続。宣言前の週末と比べると客数は明らかに減り、手持ち無沙汰な様子の販売員らの姿が目立った。

「百貨店は地域にとって欠かすことのできない都市インフラとなっている。市民生活に多大な影響を与えないよう、できる限り営業の継続を前提とした検討をお願いしたい」

業界団体の日本百貨店協会は4月20日までに、大型店舗が立地する東京都と大阪府、コロナ対策を所管する内閣官房に対し、百貨店へ休業を要請しないよう求める要望書を提出した。要望書では、2020年における百貨店の売上高総額が前年比で26%減少し、「取引先などの企業も大変厳しい経営環境を強いられ、事業継続や雇用維持に苦慮している」と理解を求めた。

休業によって百貨店関係者の脳裏をよぎるのが、2020年4〜5月の緊急事態宣言で、長期の臨時休業に追い込まれた記憶だ。全国の店舗で1〜2カ月の休業を強いられた結果、売り上げは激減。2020年度第1四半期(3〜5月、または4〜6月)の売上高は、大丸と松坂屋を傘下に持つJ.フロントリテイリングが前年同期比58%減、三越伊勢丹ホールディングスが同53%減、高島屋が同48%減と壊滅的な数字だった。