ところが、副業先のB社と雇用契約ではなく請負や委任などの業務委託契約で働く場合は、労災保険からの補償は受けられません(契約の実態が雇用関係に近いとみなされれば労働法規の適用対象になることがあります)。

この場合、幸田さんは本業のA社で加入している健康保険給付の対象となります。A社では会社員の雇用契約で働く幸田さんは仕事ができなくなった場合、仕事ができなくなった日から起算して継続3日を経過した4日目から傷病手当を受けることができますが、受け取れるのはA社の標準報酬日額の3分の2に当たる約6666円です。

副業のB社については休業するわけですから、当然賃金は支払われません。収入は大きく減ることになります。もし、B社での副業のことをA社に伝えていない場合、副業をしたせいで本業に支障をきたすことになったとわかったら、A社で気まずい思いをするかもしれません。

副業を考える前に「家計」を見直す

このように、請負や委任での仕事を副業にする場合、想定外の不利益を被ることがあります。収入減少を取り返すために、刹那的に副業をしようと考えるより前に、まずは家計の見直しをしてみましょう。

幸田さんも、副業を決める前に家計を見直すことにしました。

現在の手取り年収は幸田さんが350万円、派遣社員の奥様は手取り150万円です。貯蓄額は300万円、6歳の子どもは将来大学まで進学させるつもりで、教育費は1000万円を見込んでいます。住宅ローンは65歳で完済予定です。

幸田さんはこれから、いくらお金が必要なのか。まず「人生設計の基本公式」で幸田家の必要貯蓄率を求めます。「人生設計の基本公式」は「あなたの人生におカネはいくら必要なのか」の記事をご覧下さい。3〜5分もあれば、自分がどれくらいお金を貯める必要があるかがわかります。

今後の平均手取り収入(Y)は600万円としました。現在の資産額(A)は教育費を差し引いて(300万円−1000万円)、マイナス700万円です。年金の手取り額は簡易的に求めましたが、厳しめにYの4割程度としても構いません。

その結果、幸田さんの「必要貯蓄率」は約21%、老後生活費は月額27万円の見込みとなりました。幸田さんはこれまで年間60万円の貯蓄をしてきたと言いますが、貯蓄率は現在の手取りの12%相当です。想定するライフプランをかなえるために必要な貯蓄率21%を下回っています。