グローバルでEVシフトが急激に進む中、中国や台湾ではテスラや国内スタートアップの成功に後押しされるかのように、異業種からEV参入発表が相次ぐ。

不動産、ウイルス対策ソフト、テレビメーカーまで名乗りを上げる中、本業の蓄積を生かす余地が大きく、自動車業界の転覆者になると期待されているのが、バイドゥ(百度)、鴻海精密工業(ホンハイ)、ファーウェイ(華為技術)の3社だ。いずれもEV製造の先にある「プラットフォーム構築」を見据えているが、本業の強みと弱みを反映し、実現までの手法は異なる。

鴻海「他社から受託生産」プラットフォーム

iPhoneの製造受託企業として知られ、シャープの親会社でもある鴻海精密工業は今年1月、大手民営自動車メーカーの浙江吉利控股集団(以下、吉利)とEV製造を手がける合弁会社を設立し、EV分野に参入すると正式発表した。

2010年代からテスラに部品を供給していた鴻海は、一貫してEVへの関心を持ち続け、2020年に入ると一気に動いた。年明けに欧州や台湾の自動車メーカーと合弁会社を設立し、同年10月にはEVプラットフォームを開設、部品や技術をシェアする国際アライアンスを立ち上げた。

同社の事業モデルは、「他メーカーの完成車の受託生産を手がける」という点で他社とは明確に違う。iPhoneの組み立てを請け負い、世界最大のEMS企業に成長した鴻海が目指すのは、自身が下請けから脱却し、「EVのアンドロイド」になることだ。

鴻海はiPhoneの黒子であり、吉利は中国最大級の民営自動車メーカーではあるが、ブランド力では日米欧メーカーに遠く及ばない。だが両社のリソースを組み合わせれば、大がかりな投資をすることなくEVを大量生産できる。

鴻海は今年1月、吉利との提携を発表する直前に、2020年に資金ショートし経営再建中の高級EVメーカー拜騰汽車(バイトン)への出資も発表している。バイトンはEVの生産許可証を既に保有しており、鴻海がバイトンで技術やノウハウを蓄積しながら、吉利で量産する体制を描いているとも言われる。

鴻海は世界のEV市場が2025〜2030年に年間3600万台規模に増えると見込み、2025〜2027年にはその10%のシェアを獲得する目標を掲げている。

アライアンスに参画することで、数百万台の完成車に部品や技術を供給できる機会を得られるとあって、同社への協力を表明したサプライヤーは日本電産や村田製作所など1200社を超える。