○正解はひとつじゃないと知っている
×正解はひとつだと盲信している

話の上手な人は、相手の意見がどんな内容でも、難しくてもくだらなくても、もちろん自分の意見と合っていようといまいと、まずはきちんと聞いて受け止めます。

例え自分が正しいと思っても、相手を否定するのは悪手です。いくら正論を理路整然と述べられても、相手にとっては「つまらない話」になりかねません。そもそも自分だけが絶対に正しいことなんてほとんどないのですから、求められてもいないのに、むやみに断定したり結論づけたりする必要はありません。

○『鬼滅の刃』が大好き
×『鬼滅の刃』が大嫌い

「はやりに乗るなんてみっともない」と思うのは野暮です。はやりものは話のとっかかりをつかむのに最適なネタですから、僕は積極的に使います。「鬼滅面白いよね」という人に「いや、全然。それより僕がおすすめなのは……」なんて話し始めたら、きっと退屈ですよね。

本の中では、会議やプレゼン、SNSなど、もっと多様なシチュエーションに合わせて、すぐに取り入れられるコツを紹介しています。

ここまで解説したように、「自分がどう面白くなるか」にこだわらず、相手が楽しく気分よくなるように考えたほうが、はるかに簡単ですし、応用も効くのです。

気持ちのいいコミュニケーションとは

生きている以上、仕事でもプライベートでも、リアルでもオンラインでも、人との関係を避けて通ることはできません。誰にどう思われようと関係ないという人もいるかもしれませんが、多くの人は、なるべく無理なく、気持ちよくコミュニケーションをとりたいと思うのではないでしょうか。

近年のSNSに見られるような、たたき合いや否定のし合いは、居心地のいいものではありません。せめて自分の周りだけでも居心地よくするならば、まず相手を肯定することが9割。効率や合理性やロジックや「正解らしきもの」よりも、相手を理解して受け入れる優しさのほうがずっと大切です。

僕たちは芸人ではありませんから、人を笑わせることが目的ではありません。会話を通じて、「本業」をうまく進めようとしているはずです。仕事だったり、人と仲良くすることであったり。

そんな中で相手の心をうまくつかむことができたら、あなたの持っている力は何倍も生かすことができるようになります。

まじめに仕事ができる人、実直にテクニックを蓄積している人、冷静な判断力を備えている人、ある分野なら誰にも負けないオタク気質の人。そんな「何か」を持っている人に、心をつかむ話し方が備われば、まさに無敵なのではないかと思うのです。

相手を知り、相手を和ませ、相手の心を開かせ、そのうえで自分の能力を見せてください。これまでの何倍も、世界が広がるはずです。

著者:野呂 エイシロウ