党内の派閥地図をみると、100人近い圧倒的最大派閥・細田派の事実上のリーダーは安倍氏で、盟友の麻生氏が率いる50人を超える第2勢力の麻生派が手を組めば、「50人未満の二階派だけでは対抗できない」(同)のは自明の理だ。

しかも、党内5大派閥を形成する竹下、岸田両派には「反二階感情が強い」(竹下派幹部)とされ、二階氏の権謀術数も数の力にねじ伏せられる可能性は大きい。

自民党内は「3A」対「2F」の戦いに

そうした状況も踏まえ、ここにきて自民党内では「『3A』対『2F』の戦い」に注目が集まっている。「3A」は安倍、麻生両氏に甘利明党税調会長を加えた実力者トリオ。「2F」は「二階」氏というわけだ。

甘利氏が主導して自民党内に発足させた「半導体戦略推進議員連盟」(甘利会長)では、最高顧問に安倍、麻生両氏がそろって就任して「3A」の結束ぶりをアピール。同議連の設立総会(5月21日)には細田派の細田博之会長、岸田派の岸田文雄会長ら各派閥の領袖級が一堂に会したが、二階氏や二階派幹部の姿はなかった。

さらに、次期総裁選出馬に意欲を示す岸田氏が発足させた「新たな資本主義を創る議員連盟」の最高顧問にも安倍、麻生両氏が就任。甘利氏は発起人に名を連ねている。まさに「ポスト菅」を視野に入れた二階氏包囲網ともみえ、二階氏周辺も警戒感を隠さない。

もちろん、与党内には「コロナ禍という戦後最大の有事に立ち向かっているのに、自民党内での権力闘争などありえない」(公明幹部)との批判も渦巻く。菅首相もコロナ対策と五輪開催のためのワクチン大作戦に集中している。

ここにきての自民党内の動きは「安倍氏の表舞台復帰が発火点」(自民長老)とされる。コロナ・五輪政局の混迷が続く限り、安倍氏が政局のキーパーソンとして注目されるのは間違いなさそうだ。

著者:泉 宏