一昨年の東京モーターショーで、マツダ初の電気自動車(EV)となる「MX-30」が公開された。それから待つこと約1年後の昨年、MX-30は欧州で導入ののち、日本市場でも販売開始となった。ただし、欧州がEVのみであるのに対し、国内へはまずマイルドハイブリッド車(MHV)で販売され、今年1月になってEVが追加される変則的な導入手法を講じた。

日本は、世界に先駆け2009年に三菱「i-MiEV」、2010年には日産「リーフ」が相次いで発売され、EVの市場導入に先鞭をつけた。なおかつ、経済産業省が2013年に1005億円の補助金を投じて充電の社会基盤整備に乗り出し、同時にトヨタ、日産、ホンダ、三菱の4社が共同で、補助金だけでは不足する充電器設置費を支援して、タダ同然で拡充できる環境づくりに貢献した。

その甲斐あって、現在全国には約7800基の急速充電器と、2万を超える普通充電の設備が整っている。これに、家庭に取り付けられた普通充電のコンセントを加えれば、さらに充電環境は数を増やすだろう。

EV普及の障壁、集合住宅での充電環境問題

ところが、国内にはマンションなど集合住宅の管理組合問題があり、集合住宅に住む人たちが敷地内の駐車場に普通充電のコンセントを設置できない状況が10年以上改善されずにいる。あるいは、まだ数少ない充電器の利用についてマンション業者と訴訟になっている事例も耳に届いている。東京都は2021年度を非ガソリン化元年と位置付け、EVなどの導入に積極的な姿勢を見せているが、こうした集合住宅における普通充電が困難な状況を解決できなければ、補助金政策だけではEVの普及は進まないことを政府も自治体も気付かずにいる。

そこを敏感に察知したのだろう。マツダはMX-30の国内導入に際し、EVよりMHVを先行させた。その甲斐あって、MHVは月販600〜700台平均で推移している。ただ、4月は大きく販売を落とした。いずれにしてもこの台数では、一般社団法人自動車販売協会連合会の乗用車ブランド通称名別順位の上位50台になかなか入りにくい。満を持してマツダが投入した新しい価値を提案するMX-30の販売は不振と思われがちだ。それでも、昨年は11月に865台で46位、12月に696台で50位に食い込んでいる。

EVモデルより先行して2020年10月に発売されたマイルドハイブリッドモデル。価格は、2WDが242万円、4WDが265万6500円。また、同時にMX-30 100周年記念特別車(2WD 315万7000円/4WD339万3500円)も発売された(写真:マツダ)