NHKの衛星放送に「街角(駅・空港)ピアノ」という番組がある。街角や駅・空港などに置かれたピアノを定点カメラで映し、通りかかった人が自由に演奏する場面を流す、という番組だ。

ナレーションはなく、通りがかりの一般人(プロ顔負けの人や本物のプロの演奏家もときには交じる)による演奏と彼らの簡単なバックグラウンドの紹介、そして演奏後の短いインタビューで進行していく。ピアノが置かれる場所は国内だけでなく、シンガポール、エストニア、マルタなど海外にもおよぶ。

6月12日の回は、新東名高速道路のNEOPASA浜松(以下:浜松SA)に置かれたストリートピアノに集う人々の演奏が放送された。

NEOPASA浜松(浜松SA)は上り下りとも音楽をコンセプトとして作られている(写真:中日本エクシス)

駅でも空港でもなく、また街角とも言えないが、「高速道路ピアノ」という番組名はないので、「街角ピアノ」というタイトルでの放送であった。

演奏するのは、高速道路で小休止するドライバーや同乗者だけではない。最近の高速道路の休憩施設は、一般道から入れる駐車場も整備されているところが多いので、近隣の市民の利用も多い。

この番組でも、浜松市内在住の学生や社会人が、ピアノを弾きにくる場面が登場した。中には全国コンクールで入賞し、ピアノ教室を開いている女性の演奏もあり、インターネット上でも、「さすが音楽の街浜松、演奏のレベルが高い」などとのつぶやきがSNSなどで飛び交った。

「音楽の街」のストリートピアノ

浜松市は、ヤマハと河合楽器製作所というピアノの2大メーカーと、電子オルガンなど電子楽器の総合メーカーであるローランドが本社を構え、3年に1度開かれる浜松国際ピアノコンクールが30年前から行われている、日本を代表する音楽の街である。

番組の中でも、「日本で生産されるピアノのすべてが浜松市とその近郊で製作されている」と紹介された。JR浜松駅前の「アクトシティ浜松」の前には、ポーランドから贈られたフレデリック・ショパンの像まである。

2012年、新東名高速道路が浜松市内を貫通すると同時に開業した浜松SAは、エリア全体が音楽をコンセプトにつくられ、小休止できるミュージックスポットに誰もが自由に弾くことのできるピアノ、ストリートピアノが設置された。

下り線にはローランドの電子ピアノ、上り線にはヤマハのグランドピアノが弾き手を待つことになったのである。