元々は三菱商事で商社マンだった藤井一郎氏は、M&A業界に転身して約15年間、M&Aコンサルタントとして数多くの中堅・中小企業のM&A案件を担当し、譲渡価格で200億円超の案件も成約に導いてきた。現在は新進気鋭のM&A仲介会社インテグループの社長として、コンサルタントに対する助言および経営業務に専念している。

「中小企業M&Aの最新の動向を盛り込み、中小企業のM&Aに関わる方々にとって最も役立つ入門書をつくりたい」との思いから、「買い手」「売り手」「仲介会社」「ファンド」などさまざまな視点ですべて公開した『M&A仲介会社の社長が明かす中小企業M&Aの真実決定版』を上梓した藤井氏が、相談でよく受ける質問である「中小企業はいつ会社を売却すべきかのタイミング」について解説する。

売却の「タイミング」はいつがベストか

私は、M&Aの専門家として、これまで15年以上にわたって、優に1000人を超える経営者のM&Aの相談にのってきました。そのときによく受けるのが「いつ会社を売却すればいいか」というタイミングにまつわる相談です。

欧米では「タイミングを見計らって売却する」というのは起業家の常識ですが、日本では、後継者不在、健康問題、業績悪化など、やむにやまれぬ事情によって売却を検討しだす経営者がまだまだ多いといえます。

私は、これまで売り時を逃したがために、売却ができなかった、あるいは企業価値が著しく低くなった事例を何度も見てきました。したがって、日本の中堅・中小企業の経営者にも、「将来の選択肢としてのM&A」を見据えた経営をしていただきたいと考えています。

ここでは「『オーナー社長の事業意欲』の有無」「『業績(現状および今後の見通し)』の良しあし」4つに場合分けして、「会社を売却するタイミング」について考察してみたいと思います。