東京証券取引所では不動産銘柄に区分されるSREホールディングスが、経済産業省と東証が6月7日に発表した「DX銘柄2021」のグランプリに選定された。

2019年12月に東証マザーズに上場し、2020年12月に東証1部に指定替えとなったばかりの売上高73億円の企業が初エントリーで日立製作所と並んでグランプリに選ばれたわけで、驚いた不動産業界関係者も多かった。

SREホールディングの前身は、2014年に設立された「ソニー不動産」である。当時から異業種からの参入で注目を集め、翌年にはヤフー(現・Zホールディングス)と資本業務提携を結んだ。

筆者も2015年11月5日に開催されたヤフー不動産との新サービス「おうちダイレクト」の記者会見に参加して、「マンション流通革命の前に立つ業界団体の壁 不動産価格推定サービスは波を起こすか」と題する記事を書いた。

あれから約6年、「何とか生き残りました」――記者会見以来久々に筆者と再会した西山和良社長はそう言って笑った。確かにAI(人工知能)技術を活用して鳴り物入りで始まった「おうちダイレクト」も、マンション所有者が不動産仲介会社を通さずに、インターネット経由で直接売却するビジネスモデルが消費者になかなか浸透せず、長い間、苦戦を強いられてきた。

なぜ、SREホールディングスは生き残ることができたのか。日本の不動産市場でもAIビジネスは本格普及するのか。

AIで不動産価格をどう予測するのか

AI研究は、1956年にロックフェラー財団が支援してアメリカで開催された「ダートマス会議」から本格化したと言われる。日本でも1980年代にAIコンピューターを開発する国家プロジェクト「第5世代コンピューター」やエキスパートシステムなどが注目されるようになった。

その当時から具体的な研究テーマとなっていたのが、チェスなどのゲームや医師の診断支援、そして不動産価格の予測だった。

AIの基礎となるのは、数学や統計学などの知識である。統計学の教科書には以前から「線形回帰」などの分析手法の事例として不動産価格の予測が紹介されてきた。住宅のデータを集めて、そこから住宅の価格を予測するための数式を導き出せれば、簡単に不動産価格を予測するシステムができる。