さらに20代の人たちの地方移住への関心が高まっている。昨年5月には東京圏で39.2%、東京23区では42.9%が「関心を持っている」と答え、今年5月にはその傾向はさらに強まり東京23区では約5割が関心を持っている。実際、2020年の地価は福岡市が前年比4.4%、札幌市が同3.8%と上昇し、流入人口も増えるといった動きがあり、長年変わらなかった東京一極集中に変化の兆しがみられる。

コロナ禍は健康、環境の重要性を感じさせる契機となったともいえる。ただ、こうした機運は形状記憶合金のようにすぐに元に戻りがちである。これを契機としてさまざまな硬直的な慣行・制度を改革できるかが、日本社会の復興と少子化の克服ができるか、未来を決めるともいえる。まず、何から見直せばよいのだろうか。

教育・人材処遇を改革し、解決力や創造力を高める

コロナ禍による前述のような意識の変化は働き方や住まい方の可能性を広げている。特に20歳代の若者の意識変化は目立つ。地方への居住やワークライフバランスを追求するだけでなく、内閣府アンケ―ト調査によれば、同世代の1割が既に副業を実施、6割が関心を持つようになっている。

また、日本総合研究所のアンケート調査「若者の意識調査(報告)」(2020年8月)によれば、若者が社会的課題への貢献を望む傾向も明確だ。環境問題や社会課題に取り組む企業で働く意欲がある若者は47.2%、大学生だけでは55.3%である。

こうした未来を担う若者が、自らの成長を実感しながら思い切り社会で活躍でき、所得の面での安心と自信を持てる社会を作ることが、まず必要だ。そのためには、若い人たちの活躍を支援するような教育・育成、適切な処遇の強化が求められる。

教育面では、社会の不確実性の認識が深まった現在、課題解決力や創造力を発揮でき、個性や多様性を尊重する方向へ初等中等教育を見直す。そして、初等中等・高等・リカレントすべての段階におけるデジタル教育や、起業への挑戦をサポートする高等教育を抜本的に強化する必要がある。例えば国際比較でICT指導力の低さが露呈している日本の教員制度の改革などは急務だ。

企業の人材処遇面では、コロナを機に、柔軟な働き方への改革のみならず、日立製作所などにみられるジョブ型雇用の導入など、人事制度変革に踏み出す動きも続いている。DXで付加価値を創造する必要のある現在、デジタルの能力が最も発揮できる若年世代を活用する合理性が改めて認識されたからであろう。