この間、金融機関とのリスケ交渉が難航していた2020年秋には、取引先から支払われる予定の売上が一部地銀によって差押えられた。主力得意先からの入金が途絶えた際に頼ったのは「給料前払いサービス」を提供する金融業者だった。

従業員の給与やドライバーへの支払いにこのサービスを利用したが、すぐ翌月には利用金額に5%の手数料を上乗せして返済しなければならなかった。たとえば3000万円を利用した翌月には、3150万円を返済することになる。苦しい資金繰りの中で、この手数料も大きな負担となった。

倒産6年前に利用した高利金融をきっかけに、多額の利息や手数料の支払いに追われ、返済のためにまた別の借り入れや金融サービスを利用する「自転車操業」は断続的に行われた。大手運送会社の下請けとして売り上げを伸ばすなど、事業そのものへの評価は低くなかったからこそ、これだけ長きにわたって「自転車」をこぎ着け続けられたのだろう。

経営者に必要な「立ち止まる勇気」

厳しい言い方になるが、高利金融の利用は問題を先送りしているだけの「その場しのぎ」に過ぎない。いつか破綻することは火を見るより明らかで、多くの経営者が頭では理解していることだ。問題は自社の経営が傾いたとき。当社の場合もそうだが、そういうときに限って貸金業者の営業FAXが届くものだ。

「ここさえ乗り切れば」「すぐに返せるはず」と安易に飛びつくのではなく、いちど冷静になって“立ち止まる勇気”“周囲に相談する謙虚さ”も経営者には求められる。

著者:内藤 修