店員による接客は最小限に抑え、商品選びや試着などはセルフサービスが原則。店員は平日4〜5人、週末でも5〜6人と、規模の近しい通常のブランド店舗の7〜8割程度の人員で回す。ほかにもワールドの店舗で使われた商品陳列用の什器を再利用するなど、内装コストも抑えている。

アパレルのオフプライスに参入したのはワールドだけではない。同業であるオンワード樫山の「オンワード・グリーン・ストア」や、リユースショップなどを展開するゲオホールディングスの「ラック・ラック クリアランスマーケット」など、2019年頃から参戦が相次いでいる。

大量に発生する衣料品の余剰在庫

背景には、アパレル業界に長年横たわる過剰在庫問題がある。製造原価を下げるために中国や東南アジアなどでの大量生産が浸透した一方、毎年供給量の半分程度とも言われる売れ残り品が発生する。

衣料品はトレンドの変化に加え、暖冬や冷夏といった天候にも売れ行きが影響され、需要予測の難易度が高い。また、トレンドの移ろいがあるため、翌シーズンへの持ち越しも難しい。

一方で家賃や人件費など固定費負担の大きい実店舗の売り上げを維持するためにも、簡単に生産量は減らせない。定価で2カ月程度売った後、セールで売り切れなかった在庫品はアウトレットに流れるが、それでも消化しきれなければ「バッタ屋」などに流れたり、焼却処分されたりする。

オフプライスは、こうしたアウトレットでも売れ残った在庫も買い取って再販する。近年ではアウトレット専用商品まで開発され、業界全体で一向に余剰在庫が減る気配はない。アンドブリッジの松下剛社長は「企業の枠を超えて、余剰在庫を換金する業界のプラットホームを作ることが大きな目的だ」と話す。

ワールドにとって、オフプライス業態を拡大する意味は、自社ブランドを含めた在庫処分の場を確保するだけにとどまらない。

アパレル業界は長年の構造不況に追い打ちをかけるようにコロナ禍が襲い、ワールドは前2021年3月期に171億円の最終赤字を計上。今2022年3月期までの2年間で12ブランドを廃止し、900店舗以上を閉鎖する大規模なリストラに追い込まれている。