東武鉄道の愛好者ならば、一度は「東武鉄道はなぜ車体更新が好きなのか」と考えたことがあるだろう。それほど東武鉄道の車体には「魔改造」とも呼ばれる車体更新が多い。

東武鉄道の車体更新の歴史はとても古く、終戦直後の混乱期に国鉄63系と同型設計で誕生した6300系も車体更新を行い、7300系として運用した。3000系に至っては昭和初期に製造された32系列からの改造で、電装品などはそのまま引き継がれた。平成の時代に入っても吊りかけ駆動の重々しいモーター音を響かせながら走っていた姿が懐かしい。

一大勢力の8000系も車体更新

東武鉄道の車両を語るうえで外せない8000系も「車体更新」している。8000系は、かつての同社の通勤車両の代表格である。1963(昭和38)年〜1983(昭和58)年の約20年にわたって製造され、その総車両数は、民鉄では最大の712両という大所帯となった。

筆者の幼少期の思い出話になるが、東武鉄道の駅で往来する電車を観察していても、セイジクリーム単色の8000系ばかりで、まさに同鉄道の「顔」といったイメージであった。

ただ製造末期になってくると他社鉄道では、省エネルギー電車や、ギラギラしたステンレス・アルミ車体を載せた電車の活躍が多くなっており、車体は鋼製で単色の8000系は、もはや陳腐化しているようにも見えた。

同社も9000系や10000系など省エネステンレス電車が増え始めてきたが、大所帯の8000系を淘汰させる勢いはなく、代わりに8000系が車体更新を行い、新塗装化やフロントマスクを6050系に似せたスタイルに変えるなど、外観などをがらりと変えて、新しい時代の車両に対応していた。鉄道車両は毎日使用され消耗も激しいと思われがちだが、小まめに部品交換を行いながらメンテナンスをしていれば、50年以上の車歴を持つこともできる。

現在も活躍している200系特急電車「りょうもう号」も1956(昭和31)年〜1973(昭和48)年に製造された1700・1720系の部品を流用しており、その部品自体は、約60年以上も使用されていることになる。