ホンダが世界に誇る和製スーパーカー「NSX」が、2022年12月をもって販売終了となる。8月30日に発表された特別仕様「NSX タイプS」を最後に、現行の2代目モデルは生産を終了。次期モデルが出なければ、30年以上続いた歴史に幕を閉じることになる。

1990年に登場した初代モデル以来、同社スポーツモデルのフラッグシップとして君臨してきたNSXは、「フォーミュラ・ワン(F1)」など世界のモータースポーツで活躍してきたホンダを象徴する存在であった。そのNSXが生産終了となることが意味するものとは、いったいなんなのだろうか。

2021年シーズン限りでF1からの撤退を発表、2040年に世界で販売する新型車を100%BEV・FCVとする「脱エンジン宣言」を出すなど、急速に体制変更を図る現在のホンダ。ここでは、2代目NSX最終モデルのタイプSを紹介するとともに、後継機種の可能性なども検証しつつ、当モデルを通した「これからのホンダのゆくえ」について考察してみる。

販売終了になる現行モデル、2代目NSXとは

2020年モデルの2代目NSX(撮影:尾形文繁)

現行のNSXは、2016年に発表された2シーターのスポーツカーだ。初代モデルが2006年に生産終了となって以来、約10年ぶりの復活だった。先代から続くNSXのコンセプト、誰にでも扱える「人間中心のスーパースポーツ」を継承しつつ、数々の最新技術を盛り込んで登場した。

大きな特徴は、独自の3モーターハイブリッドシステム「スポーツハイブリッドSH-AWD」の採用だ。エンジンは高出力の3.5L・V型6気筒ツインターボで、2シーターの運転席後方に配置するミッドシップ・レイアウトで搭載する。レーシングカーやスポーツカーの多くに用いられているエンジン搭載方式は先代と同様で、乗員やエンジンといった重量物を車体中心に置くことで、高い旋回性能などを実現する。

NSXのインテリジェントパワーユニット(IPU)とパワードライブユニット(PDU)(写真:本田技研工業)

エンジンの動力をアシストする3つの駆動用モーターは、まずエンジンのクランクシャフトに直結した「ダイレクトドライブモーター」を装備。9速と多段化したDCT(デュアルクラッチトランスミッション)と組み合わせる。また、前輪の左右に独立した2つのモーターで駆動する「TMU(ツインモーターユニット)」を搭載。TMUは前輪の駆動力だけでなく、ブレーキング時などのマイナストルク(減速力)も制御する高度なトルクベクタリング機能を備え、全速度域で高いライントレース性を実現する。

なお、ハイブリッド仕様のスーパーカーは、フェラーリ「SF90ストラダーレ」やランボルギーニ「シアン」、マクラーレン「アルトゥーラ」など、近年になって欧州メーカーでも販売し始めたが、その先駆けといえるのがNSXだ。年々厳しくなる排ガス規制には、スーパーカーすら対応せざるをえないという現状がある。