AI(人工知能)を用いた画像認識技術を手がける中国の商湯科技(センスタイム)が、香港証券取引所にIPO(新規株式公開)を申請したことがわかった。8月27日、センスタイムが提出したIPOの目論見書を香港証券取引所が開示した。

今回の目論見書では、具体的な調達金額はまだ明らかにされていない。資金の用途については、研究開発に60%、業務拡大に15%、潜在的な事業機会への投資に15%、日常の運転費用などに10%を充てるとしている。

センスタイムは、香港中文大学情報工学科教授の湯暁鴎氏が2014年に創業。高精度の顔認識技術が投資家の注目を集め、2019年のプレIPOの資金調達では企業評価額が75億ドル(約8248億円)と、AI分野では世界で最も“高価”なスタートアップ企業となった。

目論見書によれば、同社はこれまでに12ラウンドの資金調達を行い、累計の資金調達額は52億ドル(約5718億円)に達する。現時点の機関投資家の持ち株比率は、日本のソフトバンクグループが14.88%、中国の阿里巴巴集団(アリババ)傘下の淘宝(タオバオ)が7.59%、プライベート・エクイティー・ファンドの春華資本(プリマベーラ・キャピタル)が3.08%、アメリカの投資ファンドのシルバーレイクが3.05%、同じくIDGキャピタルが1.42%となっている。

売上高の半分弱を官需に依存

今回開示された業績を見ると、センスタイムの売上高は右肩上がりに伸びているものの、損益は赤字が続いている。2018年の売上高は18億5300万元(約314億円)、純損益は34億3300万元(約583億円)の赤字だった。これに対し、2020年の売上高は34億4600万元(約585億円)と2年で2倍近くに増加したが、純損益は121億5800万元(約2063億円)のマイナスとなり、赤字額が約3.5倍に膨れ上がった。

本記事は「財新」の提供記事です

センスタイムの売り上げのなかで最大の比率を占めるのが、中国政府の公共事業であるスマートシティ・プロジェクト(訳注:IT技術を活用して都市が抱えるさまざまな課題を解決する試み)だ。目論見書によれば、2021年1〜6月期の売上高に占めるスマートシティ・プロジェクトの比率は47%を超えた。

事業リスク分散の観点からは、この状況は理想的とは言えない。センスタイムは目論見書のリスク開示項目のなかで、「AIに関する政府の政策や予算には(政策転換や予算削減などの)不確実性がある」と認めた。政府の関連予算の増額が続かない場合、今後の同社の成長に負の影響をもたらす可能性も否定できない。

(財新記者:何書静)
※原文の配信は8月28日

著者:財新 Biz&Tech