福田氏らは総裁選の日程が決まった時点から各派若手有志との個別会合を通じて、党総裁選では自主判断で投票先を決めることを主張していた。福田氏は総会後、記者団に「派閥一任で総裁選の行方を決めないことはほぼ達成できた」と胸を張った。

取りまとめた提言では、2009年の衆院選で自民党が下野した経緯に触れ、「かつての反省を忘れ、再びおごりが生じているとの批判が聞かれる」と指摘。「安定政権が続く中で強引とも取られる政権運営や、国民意識と乖離した言動も散見される」として、コロナ対応も含め「総裁選で国民の声に向き合い、明確なメッセージを発信するよう求める」と主張している。

立ち上がった「安倍チルドレン」

今回立ち上がった若手は、「安倍チルドレン」とも呼ばれる2012年、2014年、2017年の3回の衆院選でそれぞれ初当選した議員たちだ。呼びかけ人にはさまざまな不祥事を引き起こして「魔の3回生」と揶揄された議員も名を連ねている。

これらの若手に共通するのは「選挙基盤の脆弱さ」(自民選対)。自民圧勝ムードの中で「風に乗って当選した議員が多く、今回のような逆風の選挙は初めて」(自民選対)。自民党が8月下旬に実施した衆院選の事前全国情勢調査でも、「若手の半分以上が苦戦」とのデータが出たといわれる。

だからこそ、若手たちは誰が新たに総理総裁になったら、自分も当選できるかを必死に考えざるを得ない。派閥の領袖の指示よりも、わが身優先で自由に投票させてほしいと願うのは当然ともみえる。

とはいっても、当選3回以下の若手議員は「ひたすら雑巾がけに徹すべし」(大派閥幹部)というのが自民党の伝統でもある。しかも、政務官など、内閣や党の部会での役職などはすべて派閥領袖の裁量次第。逆らえば望む役職には就けず、それが自らの選挙活動にも響くことになる。

にもかかわらず反乱軍として決起したのは「われわれが落選すれば、自民党政権も危うくなる」との危機感と、「派利派略」ばかりに血道をあげて、若手の意見を無視する派閥領袖たちへの強い反発だ。