なぜなら、そもそもCO2排出の多いアパレルビジネスにおいて排出量を減らすためには、「従来の企業活動・バリューチェーンを大きく見直すこと」が必要だからだ。

当然、そこには痛みや現場の反発が生まれる。それらを抑えやりきるためには、実行主体に相応の権利・権限を付与することが必要になる。「経営陣レベルのメンバーが、コミットし、自分ごと化して推進すること」、これがサステナビリティーを実装する「最後のピース」である。

アパレル企業は「環境規制動向」の準備と対策が必要

コロナ禍でのワクチン接種の遅れは一部で「ワクチン敗戦」と揶揄されている。そして、日本はサステナビリティー対応においても遅れが目立ち、このままでは「グリーン敗戦」となる懸念がある。実際、エネルギー政策の問題から日本は先進国で最もカーボンニュートラルに向け遅れている国だ。

ただし、気候変動対策は地球規模で進めていく必要があるため、ガラパゴス化は許されない。今後日本においても外圧からさまざまな規制が検討されることが予想され、前述のとおり繊維・アパレル業界への波及もあるだろう。アパレル企業は、「グローバルの環境規制動向」を注視しながら、先んじて準備と対策を進める必要があるのだ。

最後に、筆者が所属するコンサルティングファームのローランド・ベルガーでは、「2028年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにすること」を発表している。この削減目標設定に先立ち、自社の企業活動でどの程度CO2を排出しているか調べたのだが、その多くが社員の「移動」で発生することがわかった。

とくに、ジェット燃料を燃やす飛行機による移動はCO2排出に大きく寄与しており、出張や移動そのものを大きく見直すことが求められている。

気候変動はもう待ってはくれない。どうやら、コロナ禍が終息したとしても、リモートワークは終わりそうにない。

著者:福田 稔