中国では、従来型の医療システムが未整備だったこともあり、遠隔医療がしばらく前から急成長している。

遠隔医療プラットフォームとしてとくに有名なのが、次の2社だ。

第1は、「平安グッドドクター(Ping An Good Doctor:平安好医生)。過去3年間で、3億以上の診察をオンラインで提供した。

平安グッドドクターの中核となる「AIファミリードクター」は、従来の病院の5倍の患者を処理でき、1日37万件を診察している。

ユーザー数は2億人を超え、提携する病院・医療機関は5000件以上、薬局1万店以上、提携医師は2万人以上にのぼる。

ユーザーは、スマートフォンのアプリを通じて、症状をチャットや通話、テレビ電話で医師に伝える。診断後に診断書がオンラインで送られる。病院での治療が必要なら、予約できる。投薬で済むなら処方箋が発行され、都市なら1時間以内で薬を配送してくれる。

もう1つが、WeDoctor(微医)だ。

この遠隔医療も、スマートフォンのアプリで行われる。Tencentにより買収されたので、WeChatとも連携している。症状を入力して、医師に診断してもらい、処置の指示を受ける。ウエラブル端末は 鼻の奥を検査することもできる。

症状が重篤なら、診断結果を紹介状として、病院に紹介される。

イスラエル・スタートアップ企業の活躍

イスラエルのスタートアップ企業タイトーケアは、肺の音を調べられる手持ちサイズの端末を開発した。

子供が夜にせきが続いたような場合、端末で音を録音すると、データがネットを通じて医師と共有される。その夜のうちに、専用のアプリを通じて診察も受けられる。

搭載したAIが、過去のデータをもとに異常を感知する。

この端末は1台約300ドル。コロナ患者の診察にも活用できる。欧米など15カ国で使われている。

また、1.5メートル離れたところから心拍や呼吸を測れる機器も開発されている。要介護者は、これを自宅のベッドの下に置くと、介護施設にデータが送られる。そして、異常があれば施設が対応する。

フランスは今年4月現在、全国民の20%に相当する1310万人が遠隔医療を体験した。イギリスでは、もともと普及している。

このように、遠隔医療は、もはや従来の医療を補完するものではなく、医療システムの柱になってきているのだ。