バングラデシュの首都・ダッカで建設が進む都市高速鉄道(MRT)で8月末、日本製の車両を使った本格的な試運転が始まった。この鉄道は「ダッカMRT6号線」と呼ばれるバングラデシュ初の都市型鉄道。ダッカのMRTプロジェクトは、日本政府が打ち出している「インフラ輸出戦略」の一環として、計画策定段階から一貫して独立行政法人国際協力機構(JICA)がバングラデシュ政府の支援を行ってきた。

試運転初日の8月29日は、道路交通橋梁省のオバイデル・カデル大臣が発車の緑旗を振り、走行テストの開始を祝った。今後、14カ月間にわたる試運転を実施。後半の5カ月間は乗客を乗せた試験走行を行い、2022年12月の開業を目指す。

鉄道なしの巨大都市

世界でも有数の人口稠密地帯であるダッカ首都圏。2001年時点で1000万人を超えていた人口はその後も増加を続け、2025年には2500万人を超えると試算されている。しかし、都市内交通としての鉄道は全く存在せず、交通需要は道路交通に集中。道路にはバスやバイク、リキシャ(自転車タクシー)、荷車などがあふれ、絶望的な交通渋滞に悩まされてきた。また、排出ガスによる環境汚染も深刻だ。

ダッカ中心部の道路は多くのリキシャや車で混雑している(筆者撮影)

こうした状況を改善するため、バングラデシュ政府は2005年に「ダッカ都市交通戦略計画(STP)」として、今後20年間にわたる都市交通政策を取りまとめた。これに基づき、JICAは2009〜2011年に「ダッカ都市交通網整備事業準備調査」を実施。STPで提言された首都圏の交通網改善の方策を見直しつつ、適切な大量輸送交通システムの導入についての実施妥当性を示した。

ダッカの道路混雑は非常に激しい。筆者はMRT敷設計画に対する円借款が本決まりとなり、JICAによる支援が本格始動した2014年後半、現地を訪れる機会を得たが、国際空港から市内中心地のグルシャンまで10kmあまりの一般道路を移動するのに3時間以上かかる状況だった。現地の行政は、街路の混乱を避けるため、メインストリートからのオートリキシャや3輪自転車等を排除し、裏道でのみ走行を認めるといったルールも作っていたが、交通量が多すぎて渋滞の抜本的な解決には繋がっていないようだった。