個別の大学の実就職率の状況を、卒業生が1000人以上の大学を対象とした実就職率ランキングで見ていこう。

1位の金沢工業大学は、この条件の実就職率ランキングで5年連続のトップだ。実就職率が高いだけではなく就職先に関しても実績が高く、上場企業と大手企業(資本金3億円以上または従業員300人以上の企業)の就職者は、卒業生の64%に上る。

2位は昨年の4位から上がった愛知工業大学。トップ2大学以外にも工科系大学が数多くランクインしているのは例年通りだ。製造業の求人は多く、情報技術の発達に伴う事務系職の減少の影響を受けにくいことに加え、銀行や商社、シンクタンクなど文系のイメージが強い業種でも理系的な知識が求められていることなどが、工科系大学の実就職率が高い要因となっている。

ランキングを見ると、大阪工業大学(4位)、名古屋工業大学(5位)、芝浦工業大学(9位)、広島工業大学(10位)と、上位10大学中6大学が工科系大学となっている。

総合大学では、福井大学が3位に入った。卒業者数1000人以上かつ複数の学部を持つ国立大の中で13年連続のトップだ。就職に強い工、教育、医の3学部の定員が多いことが、高い就職率の背景にある。名城大学(7位)や宮崎大学(8位)も教員養成系や理系学部の定員規模が大きな大学だ。

実就職率を下げる大学が大半

この中で注目されるのは、8位の宮崎大。2021年卒は、大半の大学が前年の実就職率を下回った。そうした中、0.9ポイント上がり、前年の41位から大きく順位を上げているのだ。前年と比較できるランキング中の大学の中で実就職率が上がっているのは、宮崎大を除いて7大学しかない。

実就職率が下がる大学が大半ということもあり、この7大学は順位を大きく上げる傾向にある。順位の変動を見ると、13位の大阪府立大学は、前年順位52位から上がっている。同様に、16位の茨城大学は前年の77位から、34位の京都工業繊維大学は82位から、44位の金沢大学は124位から、54位の長崎大学は105位から、101位の九州大学は156位から、127位の岡山理科大学は159位からそれぞれ順位を上げている。

ランク外の大学では、筑波大学(154位)と京都大学(167位)が前年の実就職率を上回っている。厳しい就活環境にもかかわらず、近畿と地方の国公立大が実就職率を伸ばしている傾向がうかがえる。