日本自動車工業会の発表では、2018年の時点で、新車販売のうち衝突被害軽減ブレーキ(低速度域のみも含む)装着は、84.6%にもなっていた。政府目標は、2020年までに新車装着率90%であったが、トヨタやスバル、ダイハツはすでにクリアしており、他メーカーもほぼ達成間近になっているという。

今回の「義務化」は、日本車に限って言えば、現状を追認しての“最後の一押し”だと言える。

では、“最後の一押し”が必要だったのは何か。それは、日本車で言えばスポーツカーだ。たとえば、話題のスバル新型「BRZ」には、ATモデルにしか衝突被害軽減ブレーキ、スバルでいうところ「アイサイト」が、用意されていない。MTモデルには装備されていないのだ。

2021年6月に発売された新型「BRZ」(写真:SUBARU)

「BRZ」の兄弟車であるトヨタ「86」の発売はこれからだが、こちらもMTモデルには衝突被害軽減ブレーキが採用される可能性は低いだろう。「BRZ」の発売は7月29日であったので、今回の「義務化」には抵触しない。

しかし、トヨタの「GRスープラ」やマツダの「ロードスター」には、すでに衝突被害軽減ブレーキが装備されている。決して、「スポーツカーは特殊だから」という理由では許されるものではない。「安心と愉しさ」をうたうスバルなのだから、“スポーツカーに衝突被害軽減ブレーキを装備させるのが最も遅い”という汚名を一刻も早く返上してほしいものだ。

交通事故6割減のデータも

では、衝突被害軽減ブレーキが義務化されると、どのようになるのか。確実に言えるのは、“クルマ同士の衝突事故が減る”ということである。

衝突被害軽減ブレーキの先駆でもあるスバルが2016年に発表したリリース「アイサイト搭載車の事故件数調査結果について」を見ると、車両同士の追突事故では約8割減、対歩行者事故で約5割減、事故全体では約6割減が認められたという。

実際に筆者も、さまざまな衝突被害軽減ブレーキを体験している。ダミーの壁に向かって走り、どのように作動するのかを試したことも数多い。その結果、何度か壁にぶつかったことがあり、システムは100%ではないことを体験として知った。

しかし、それでも99%に近い確率で、システムは作動してくれた。“完璧ではないが、相当に信用できる”。それが実感としての衝突被害軽減ブレーキの性能だ。そういう意味で、万一の人間の失敗をカバーする保険として、衝突被害軽減ブレーキは大いに役立つと思っている。