ここから連想してみると、2021年総裁選も重要な政策転換の場となり、強力政権の出発点となるのではないかと思えてくる。株式市場が好感するのも無理がないのである。

いかなる偶然か、このタイミングで新規感染者数も減り始めた。8月末までのイヤ〜な雰囲気は一気に消え去った。自民党としても株式市場としても、「ありがとう!菅さん!」と言いたいところだが、あらためてこの1年、菅内閣はどんな仕事を果たしてきたのか。数え上げてみると、ビックリするほど多いのである。

菅政権の評価はどう行えばよい?

以下は筆者が勝手に10項目を選び出し、ランキングをつけてみたものだ。1内閣が1年間で成し遂げた仕事とは考えられないほどの量である。

① ワクチン接種体制の構築。当初、「1日100万回体制」はとても無理ではないかと思われたが、わが国におけるワクチンを2回接種した比率は9月12日時点で全人口の5割を超えた。アメリカを抜くのはもう時間の問題だ。

② 東京五輪の開催。いろいろ議論はあったにせよ、また無観客だったにせよ、とにかく大きな事故もなくイベントを終了させた。「オリパラ」に参加したアスリートたちも、「ありがとう、菅さん」だろう。

③ 「2050年カーボンニュートラル」の宣言。かなり困難な目標となるが、大方針を決したことは歴史に残る仕事。次期首相はこれを引き継いで、いきなり10月の「G20ローマ会合」や11月の「COP26」グラスゴー会合に出席しなければならない。

④ デジタル庁の創設。甘利明・自民党税制調査会長の言葉を借りれば、わずか1年でスタートにこぎつけたことは「日本新記録」の速さ。約600人の小さな組織だが、「デジタル敗戦」と言われた過去を否定できるか、これからが勝負。

⑤ 日米豪印による初のクワッド首脳(オンライン)会合、ジョー・バイデン大統領との日米首脳会談、コーンウォールG7会合出席など一連の外交成果。外交文書に「台湾」という文言を入れることはG7のコミュニケにも踏襲されたが、もとはと言えば日米間で決めたこと。これで長年の国際政治上のタブーを破った。

⑥ 福島第一原子力発電所から出るトリチウム水の処分方法の決定。安倍晋三内閣が先送りしてきた課題にメドをつけた。

⑦ 携帯料金の値下げ。結果的に約4300億円分の負担軽減となり、家計の可処分所得がそれだけ増えたことになる。   

⑧ 最低賃金の引き上げ。「最低時給1000円」を目指し、2021年は全国平均で28円と過去最高の上げ幅になった。

⑨ 不妊治療への保険適用。来年4月からスタートの予定だが、さかのぼって今年1月から助成を拡充。年収730万円未満という所得制限も撤廃へ。

⑩ 過去の積み残し法案の処理。国民投票法案、種苗法、重要土地取引規制法など。総じて安倍内閣8年間のやり残しを一掃した1年であった。