鉄道地線路内立入罪とほかの罪の刑罰との比較の点でいうと、軽犯罪法違反を検討材料として挙げることができる。鉄道地線路内立入罪と同じように他人が管理する土地への侵入があった場合の罰則として軽犯罪法違反があるが(軽犯罪法第1条第32号)、やはりこちらも刑罰は軽く、拘留または科料にとどまる。

しかし、たとえば草原のようなところと異なり、線路は現に列車が行きかう敷地である。立入者の生命への危険が発生するおそれがあるだけでなく、列車運行が妨げられることにより生じる被害は草原とは比較にならないほど大きくなる可能性が高い。そうすると、刑罰の種類や重さについて、必ずしも軽犯罪法違反との釣り合いを考える必要もないだろう。

鉄道技術に比べ進化がない法律

刑罰は対象の行為に対するものとしてバランスがとれている必要があるし、人に対して対象となる行為をさせないという力と、反省をさせるだけの力を持たなければ意味がない。鉄道地内立入罪の科料は1000円以上1万円未満である。お小遣いレベルでよいのだろうか。

わが国における鉄道黎明期から現代にいたるまで、鉄道の安定的な運行を支える技術の発展には目を見張るが、一方で、安定的な運行を支えるものの1つである鉄道営業法の変化のなさにもまた目を見張る。

私にとっては1975年〜1990年代の鉄道が原風景だが、もしかしたらその時からほぼ変わりなく残っている鉄道の風景は鉄道営業法だけかもしれない。

刑罰は厳罰化すればいいというものでも必ずしもないが、時代にそぐわないものは刑罰や法律に対する市民の信用も失う。改正を検討してもいいころだと思う。

著者:小島 好己