1月からほぼ半年以上続く緊急事態宣言もようやく明けたが、アルコールについては制限付きのままだ。コロナ禍でとりわけアルコールがターゲットとされる中、甚大な損害を被っているのが酒造や酒販店。こうした事態を世に知らしめようと、「獺祭」で世界的にも知られる山口県の酒造、旭酒造は2021年5月、「飲食店を守ることもいのちを守ることにつながる」との新聞広告を掲出している。

酒造や酒販店にとって、料理とともにお酒のおいしさを消費者に伝える役割をする飲食店は、取引先であるとともに消費者との接点、マーケターとしても重要だ。その飲食店でお酒が出せなければ、酒造や酒販店は息を止められたような状態になってしまう。彼らは今、どのような生き残り策を講じているのだろうか。

「BtoC対策」が功を奏した

千葉県に本社を置く株式会社いまでやを取材した。

同社は1962年、町の小さな酒屋として出発。二代目の小倉秀一社長が経営を引き継いでから大きく手を広げ、現在は「酒のワンダーランド」をうたう千葉市内の本店のほか、2014年から立ち上げたオンラインショップ、千葉駅改札内の千葉エキナカ、GINZA SIX、錦糸町PARCOなどにショップを展開。

このように挑戦的に経営を拡大してきた同社であるが、やはり長引くアルコール提供制限の影響を大きく受けて、売り上げはコロナ前の2019年の7割に落ち込んだ。しかし社長の小倉氏によると、以前から続けてきたBtoC対策が功を奏し、この程度で済んでいるのだという。

「うちはもともと飲食店への納品が7割以上ですから、大きな打撃を受けました。ただ、昨年の4月にそれまでほとんどなかったECの売り上げが240%に跳ね上がりました。千葉本店の売り上げも昨年に引き続き今年もプラスとなっています。家飲みの需要に支えられているということです」(小倉氏)

BtoC対策の要となっているのが品ぞろえだ。

一般的な酒販店は店舗に卸す業務用ビールが5〜6割を占めるところだが、同社の商品構成は金額ベースで日本酒約33%、ワイン約30%、ビール約13〜14%となっている。日本酒、ワインを中心に総合的に扱う専門店という位置づけを目指しているのだという。

とくに、ここ数年注目され始めている日本ワインについては、すでに18年前より扱いを始めているなど、ジャンルを絞った高付加価値商品でコアな消費者に訴求してきた。