――再エネは太陽光にしろ、風力にしろ、稼働が不安定という問題があります。

EVの蓄電能力を利用することで太陽光や風力を有効に活用できる。現時点でも太陽光による電力が余ることがある。今はその余った電力を捨てている。

一方、EVは大容量の電池を積んでいるが、どの時間帯でも約9割の車両は駐車されている。電力が余る時間帯に安くEVを充電し、電力需要が高いときにEVにためておいた電気を使うことで、捨てられるはずだった再エネ電力を有効活用できる。

そうすれば再エネ事業者の採算性が改善して需要ピーク時の電力コストを抑えられるため、EVを持たないユーザーにとってもプラスになる。何より国全体で再エネ電力を増やし、カーボンニュートラルへと近づくことができる。

EVと家とで電力を融通し合うV2H(ビークル・トゥー・ホーム)や、EVを電力系統全体で有効活用するV2G(ビークル・トゥー・グリッド)と呼ばれるシステムも期待できる。現在は高価だが、EV用の車載インバーター(モーターの回転速度を制御する装置)の活用で安価にできる余地がある。

カギは充電タイミングの分散

――充電のタイミングが集中する問題に対応できますか。電力逼迫時に一斉にEVが充電をすれば、停電が起きる懸念もあります。

ユーザーがEVを充電するタイミングについて何も対策をしないと、電力需要のピーク時に充電も集中し、必要な発電容量が増えてしまう。だが、EVの機能をフルに活用すれば、ピーク時の電力需要を下げることが可能だ。

例えば、夕方帰宅してすぐに自宅でEVを充電しようとすれば、住宅での電力需要が増えるタイミングと重なるのでよくない。帰宅してEVをコンセントにつないでもすぐに充電が開始されるのではなく、夜中に電力需要が下がってから自動的に充電を始められるようにしなくてはいけない。

実は、EVの多くには充電のタイミングをコントロールする機能が搭載されている。朝の7時に充電を終えるようにセットしておけば、残量から逆算して(電力需要の少ない)夜中に自動で充電を開始してくれる。こうした機能があることは、EVの保有者にもあまり知られていない。販売時点でこの機能をオンにしておくようにすると、充電の需要が集中するリスクの回避に有効だろう。

――消費者がEVの購入に消極的な理由として、充電インフラの不足もあります。

自宅での基礎充電と外出先での急速充電――この2つのインフラを整えなくてはいけない。ただし国全体の電力需給の観点からは、日常では基礎充電を使うようにして急速充電の利用は遠出をする際に絞るなど、補完的な位置づけにすべきだ。

基礎充電は先ほど述べたV2Hでメリットを出していく。職場には充電できる環境がまだ少ないので、その整備も必要になる。