「働かないおじさん」に関する記事やネットの論調を見ていると、「高い給料をもらっていながら、成果が出せない(出そうとしない)本人が悪い」「今まで放置してきて、急に手のひらを返した会社が悪い」「その状況に対して何も言わない(言えない)上司や人事が悪い」など、社内での犯人捜しや、責任の所在の追求のみにフォーカスした議論が多い気がしています。

しかし、現在の「働かないおじさん問題」は、従来の「サボリーマン」「本人が悪い」という認識では捉え切れません。

中高年は20代の1.7倍の成果が求められる

ではなぜ、「真面目でコツコツ働く人」が「働かないおじさん」になってしまうのか。

「働かないおじさん」を「ローパフォーマー」と表現することがあります。

「ローパフォーマー」は、「期待された成果が発揮できない人材」を指します。しかし、実は「働かないおじさん」の能力や成果自体が若手社員と比べて低いわけではありません。業務能力や成果だけを単純比較すれば、ベテラン社員のほうが、入社数年の若手社員よりも高いことが多いです。
にもかかわらず、業務能力も成果も低い状態の新入社員はポテンシャル人材として期待され、ある程度の能力と成果はあるはずのミドルシニア社員がローパフォーマーとして扱われてしまうのは、両者に対する会社や周囲の「期待・役割」が違うからです。

日本では多くの企業が年功序列的な賃金制度や経験による能力向上を前提とした職能資格制度を採用しており、処遇(賃金や職位)は勤続年数とほぼ比例して上がっていくケースが多いでしょう。

しかも、一度上がった賃金が大幅に下げられることは、よほどのことがない限りありません。

その結果、中高年層は若手に比べると、かなり高い賃金や職位をもらうことになります。そうなると当然、成果に対する期待値も高くなり、その期待に応えられなくなることで「働かないおじさん」のレッテルを貼られてしまうのです。

国税庁の「民間給与実態統計調査(令和元年分)」によると、25〜29歳の男性平均給与は403万円、55〜59歳の男性平均給与は686万円。つまり1・7倍の差があります。

単純に言えば、ミドルシニアには20代社員の1・7倍の成果が期待されます。

ギャップが生じ始めた際に、早い段階で「本人がギャップに気付ける機会」「本人と上司がギャップを埋めるために話し合う面談」「ギャップを調整する仕組み(制度)」を用意することが人事として必要になります。

「同じ業務を続けていると飽きてやる気が下がる」

「高くなる期待を上回る成果を発揮し続けないと、ローパフォーマー化する」

こうした問題を解決するために、ご紹介したいのが、「WILL・MUST・CAN」のフレームワークです。