テレビについては、32型テレビと40型テレビについて不当表示とされた。32型テレビの一時期のセールを例にすると、 「オールスター家電祭 2016冬」と称するセール企画として

  • <49%OFF!>
  • 明日以降 ¥192,240
  •      ¥97,800
  • と、実際の販売価格に当該価格を上回る「明日以降」と称する価額を併記した。

    これにより、「明日以降」と称する価額は、セール企画終了後に適用される通常の販売価格であって、実際の販売価格が当該価格に比して安いものであり、かつ、実際の販売価格は他の販売事業者では通常設定できない安いものであるかのように表示していた。

    しかし実際には、セール企画終了後に販売される期間は3日間のみであって、ごく短期間のみ「明日以降」と称する価額で販売するにすぎず、当該価格での販売実績も同社において実質的に問われないものであって、将来の販売価格として十分な根拠のあるものとは認められず、かつ、その時点において、本32型テレビを同社と同程度または下回る価格で販売する他の販売事業者が複数存在していた。

    従来の二重価格は過去の販売価格と比較して現在の価格の安さを強調するものであったが、このように将来販売する価格を通常価格として、現在の価格の安さを強調する表示が見られる。消費者庁は将来の販売価格での販売期間や確実な予定があるかを問題視しているが、そもそも表示した時点で販売実績のない将来の価格を通常価格として「〇〇%オフ」と表示すること自体、問題ないのであろうか。

    いたるところで見られる二重価格

    二重価格はマーケティング戦略として、いたるところで見られる。飲食店でクーポンを発行し、それを提示すると10%オフなどはよく見受けられ、得した感じがして頻繁に利用する人も多いだろう。しかし、本当に得しているのだろうか。クーポン券を絶えず店の前で配っていたり、店の外にバケットを置きいつもクーポン券がそこにあるような店もある。

    筆者の経験だが、勤務する日本女子大学のゼミで飲み会をすることになり、学生が50%引きのクーポン券利用で2500円で飲み放題の店を探してきたことがある。料理は質も量もひどいもので、初めから2500円の価格設定としか思えず、クーポン発行会社にクレームを入れたことがある。発行会社は一応、当該居酒屋にヒアリングしたようで、たしかに5000円のコースを値引きしているということであった。覆面調査でもしない限り、本当のことを言うわけがないだろう。

    「同一ではない商品の価格を比較対照価格に用いて表示を行う場合」も消費者庁は前述ガイドランで不当表示としているが、製品と違って、飲食店の料理の比較は難しい。50%引きの2500円で飲み放題と聞いただけで筆者はそのからくり、質を想像するが、経験に乏しい学生などはそうではない。

    法的規制も重要だが、賢い選択をすることができるようにする消費者教育も重要だ。

    著者:細川 幸一