国鉄の末期から分割民営化・JR発足にかけての一時期、堰を切ったように全国各地で数多くのイベント列車が誕生した。それらの華やかな列車は「ジョイフルトレイン」と呼ばれ、JR発足直後の祝賀ムードに花を添えた。

ジョイフルトレインは主に団体のレジャー・観光用の列車であり、国鉄時代も団体列車、臨時列車は運転されていたものの、この時期に工夫を凝らした欧風車両など一気に新たな車両が登場した。その祖である「お座敷列車」からJR各社を代表したジョイフルトレイン、そしてイベント列車的な要素のあったさまざまな車両について、当時大人気だったこれらの列車を取材した筆者の思い出を交えて今一度振り返ってみよう。

斬新だった「欧風客車」

サロンエクスプレス東京(国鉄・JR東日本)

国鉄時代の団体向け列車といえば、旧型客車改造による純和風の「お座敷列車」が定番だった。しかし、若年層には和風客車の人気はいま一つだった。そこで1983年8月に「新しい旅の創造」をテーマに誕生したのが「サロンエクスプレス東京」であった。

DD51形ディーゼル機関車の牽引で吾妻線を走る「サロンエクスプレス東京」(撮影:南正時)

当時は客車が余剰気味となっており、この列車は既存の14系客車7両の改造により大宮工場で造られたが、外観はそれまでの団体列車用客車のイメージを打ち破る斬新なスタイルだった。両端の車両は傾斜した大型ガラス張りの展望席として回転ソファーを設け、さらにカラオケやビデオ設備も備えるなど、これまでの団体列車用客車にないさまざまな要素を積極的に取り入れた。

それまでの「和」な雰囲気から脱し、椅子席でコンパートメント(個室)主体の車内構成とした欧風客車で、この列車がその後登場する欧風列車、そして「ジョイフルトレイン」ブームの引き金になったと言っていい。伊豆方面への「サロンエクスプレス踊り子」、軽井沢への「サロンエクスプレスそよかぜ」など臨時列車で運転されたのも懐かしい。

だが、欧風客車の始祖だったものの、1997年には和風のお座敷客車に改造。団体利用者層の高齢化を受けてのことで、ジョイフルトレインを取り巻く環境の変化を感じさせた。