外資系コンサルティング・ファームが東大生の就職人気ランキングでトップになるなど、注目を集めるコンサルティング業界。「コンサルティング後進国」と言われた日本でも、コンサルタントを活用する企業が増え、コンサルティングはすっかり市民権を得ました。

一方、最近コンサルタントが絡む事件・不祥事が増えています。

今年6月、山口フィナンシャルグループでは、解任された吉村猛前会長と癒着していた外資系コンサルティング会社にサービスの実態が乏しいのに4億円の報酬を支払っていたと判明しました。ほかにも多くの事件で「コンサルティング料」と称する不正な資金のやり取りが報道されています。

こうした全国紙をにぎわす大きな事件・不祥事もさることながら、身近なところで多発している困った問題が、「コンサルティングの押し売り」です。今回はコンサルティングの押し売りの実態を紹介しましょう。

コンサルティングと融資の抱き合わせ販売

中部地方の電子部品メーカー・E社の中村克文社長(仮名)は、メインバンク・N銀行の営業担当者の訪問を受けました。E社はコロナ禍でも業績は順調で、資金繰りも問題ありません。ただ、中村社長はコロナ収束後に海外展開を加速させたい方針で、「金利が安いうちに手元資金をもう少し調達しておいてもいいかな」と考えていました。

面談で中村社長のこの意向を聞いた営業担当者は、待ち構えたように2つの提案をしました。

①N銀行のコンサルティング部門がE社にコンサルティングを実施する。コンサルティング料は200万円

②コンサルティングを実施したら、新規融資の金利はこれまでよりも0.2%低い水準にする。

営業担当者は「コンサルティングで貴社の経営が改善し、低金利の資金調達ができ、当行も安心して貴社との取引を拡大することができます。まさにウィン・ウィンの関係です!」と胸を張りました。

しかし、中村社長は「融資は少し必要ですが、コンサルティングはまったく必要ありません。セットでということなら、融資のほうもノーサンキューです」と提案をその場で断りました。

買い手が欲しがる商品を、欲しがらない商品と一緒に販売することを「抱き合わせ販売」と言い、自由競争を妨げる不当な抱き合わせ販売は独占禁止法で「不公正な取引方法」として禁止されています。今回のN銀行の提案が「不当な抱き合わせ販売」に該当するのかどうかはわかりませんが、グレーであることは間違いないでしょう。